奈良公園周辺は、気張らず散歩くらいにしておこうかと、興福寺、東大寺を、鹿たちを愛でながらただふらふらと歩いた。
興福寺側から入り、奈良県ではどのビルよりも高いとされる五重塔などを見上げ、大仏さんにお目にかかろうと東大寺へと向かう。
途中、奈良公園内を突っ切っている国道169号を渡るのだが、横断歩道で警官が声を上げている。何ごとかと見ていたら、
「これで最後です。今しばらく渡れなくなるので、お早くどうぞ」
などど言っている。白バイやパトカーが何台も通り過ぎる。周辺には十人以上の警官。そして、人だかり。
「誰か、来るんですか?」
夫が警官に訊くと、やわらかい関西弁で答えが返って来た。
「皇太子はんご夫妻が、3分後に通られます」
驚いているあいだも、警官は、
「道路にカメラを突き出さないようにしてください。ペットボトルをお持ちの方は、鞄にしまってください」
などと、対応に忙しい。外国人観光客も多く、たいへんそうだ。
そうこうしているあいだに、おふたりを乗せた黒塗りの車が通り過ぎていく。
人混みのなかから笑顔で手を振る浩宮さまと雅子さまがちらりと見え、思わずこちらも笑顔になり、手を振り返していた。
「袖振り合うも他生の縁」とは言うけれど、こんなふうに旅先で皇太子ご夫妻とすれ違うとは、思ってもみなかった。
千年以上も前に建てられた興福寺や東大寺。それらを造った千年以上も前に生きた人々。夫と同い年の皇太子さま。ただその場所ですれ違っただけの名前も知らない人たちのなかには外国人もいる。そして、今年生まれたばかりの小鹿。
時間。場所。空。水。空気。人。思い。
一瞬のすれ違いに、そういうものすべての流れが交錯しかかわり合って変化していく、大きなうねりのようなものを感じた。
「しばらく、この場を離れないでください」
警官の規制が解かれるまで、静かにそのうねりのなかに立ち止まっていた。
猿沢池から見た興福寺五重塔です。お天気に恵まれました。
真下から見上げて。立派です。高さ約50mだそうです。
この辺りには鹿もいっぱい。お母さん鹿と小鹿。可愛い♡
水浴び中の牡鹿もいました。気持ちよさそうです。
東大寺南大門。「大華嚴寺」の文字は聖武天皇の筆跡だそうです。
東大寺大仏殿。タッチの差で大仏殿拝観時間を過ぎてしまい、大仏さまを拝めませんでした。すれ違いの時間差かなあ。
ライトアップした五重塔も、美しかったです。猿沢池にも映っていました。
まあ、素敵な出会いですね。
あのご夫妻もこちらに来られていたのですね!
ものものしい、警戒体制でしょうね。
ちらっとでもお顔が見れたのですね。
ご主人は皇太子さんと同い年ですか。
私は、雅子さまと同じです。(笑)
鹿は可愛いですね。奈良はあの光景がなんとも言えずいいですね。
増えすぎて、駆除の話もあると、最近ニュースで知りました。野生だから、それは仕方ないのかなとは思いますが、奈良の鹿は、やめてほしいなあと、思いました。
大仏様、残念でしたね。
ぱすさん
そうなんです。びっくりでした。
翌日近鉄奈良駅でも警官がたくさんいて、皇太子はん電車で帰られるそうですと教えてくれました。
電車で!とまたびっくり。そのときは1時間くらい後みたいなのでスルーしましたが。
雅子さまと同い年なんですね。同世代ですよね。
鹿、可愛かったです。バッグの中に顔を突っ込んでくる子もいました(笑)
駆除ですか。残念な話ですね。
さえさん、おはようございます♪
小学校の時の修学旅行は京都と奈良でした。
当時、神社仏閣には全くといって興味がなかったので、もっぱら奈良公園での鹿に鹿せんべいをあげたのが修学旅行での唯一の記憶となっています(笑)
大人になってから奈良を訪ねたときは小学校の頃よりもっと楽しめました。
日本史が好きだったからかもしれません。
鹿さん、可愛いですね。
見ているだけで心が和みます。
奈良はのんびりとしていて好きです。
奈良に住んでいる友達ものんびりした感じなのでこれは土地柄ということかもしれませんね。
papermoonさん
わたしも修学旅行以来の奈良でした。同じく奈良公園の鹿しか記憶にありませんでした。
奈良の人、のんびりしていますよね。
お巡りさんも、やわらかい関西弁のせいか、緊迫感があまり感じられなくて、いいな~と思いました。
鹿たちものんびりした雰囲気なのは、奈良ならではなのかも知れませんね。
近鉄で神戸の三ノ宮から1本で行けると知り、ぜひまた行きたいなあと思いました。
大仏さまも拝めませんでしたしね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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