夏の終わり、エッセイサークルの友人に紫陽花の苗をいただいた。白い花が咲くという。来春を楽しみに玄関先に植えた。
そこに先週、小さな花が咲いているのを見つけた。
濃い紫とブルー、白と黄も見える。花弁は濃い黄色だ。茎は赤みがかっていて木の葉の紅葉と似てもいるが、すっと黄緑色が入っているので枯れたような感じはしない。
植物に詳しい方に教えていただいて「トレニア」だとわかった。
友人の白い紫陽花が咲く庭に、きっと一緒に咲いていたのだろう。
調べれば、夏の花。このまま冬を越すことはないと思うが、日々霜に当たっていないか見守るようになった。
何もないと思っていたところに可憐な花が咲くということに、ただそれだけのことなのに、胸がホッと温かくなる。
紫陽花の根に守られて、眠りこんでいたのだろうか。
目を覚まし、何を思っているだろうか。
考えてみれば、植物たちはそうやって種を増やしていく。春に目を覚ますタンポポだって、生まれ育った土地とは違う場所で根を張り、種を飛ばしていく。何を思うこともなく、ただ強く生きていくのみなのだろう。
そう思いながらも、トレニアに問わずにはいられない。
何を思っているのだろうか、と。
この濃い紫色にハッとして、見つけました。
両手を開いているみたいに見えて、可愛い~♩
あのね、って話しかけてくるかのようです。
陽が当たると、こんなふうになかが透けて見えます。
☆『地球の歩き方』北杜・山梨特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。