ポルトガル語の「saudade(サウダーデ)」という言葉は、日本語に訳すのが難しいらしい。
ノスタルジー(単なる郷愁)とは違い、子どもの頃の無邪気さをなつかしいと思う気持ちや、追い求めてもかなわない憧れなども含めた、郷愁、哀切、憧憬、思慕などの複雑なニュアンスを持つという。
夕暮れどきのうら淋しいような、理由もなく涙がこぼれそうになるような、不意に誰かを思い出しハッとするような、静かに夕焼けを眺め胸が暖かくなるような。
そんな感情に似たものなのだろうかと想像する。
ポルトガルは、「サウダーデの国」と呼ばれているらしい。
この国独特の大衆音楽であるファドのメロディは、まさに「サウダーデ」なのだそうだ。
言葉にするのが難しいもの。
掴もうとした途端、指のあいだからこぼれ落ちていってしまうような不確かなもの。
人は、なぜそういうものを求めるのだろう。
「地に足をつけた」と形容されるような確かさに囲まれて暮らしていたいと願いながらも、そんな危うさを伴うものへと知らず知らず傾いていく自分がいる。
ポルトガルの人たちが求めるサウダーデは、たぶん日本人が求めるものとよく似ている。
リスボンのホテルの窓から眺めた夜明けです。
夜明けは午前7時半くらい。日本よりずいぶん遅い。
テージョ川から登りゆく朝日。旅の1日の始まりです。
リスボン生まれの詩人フェルナンド・ペソア氏の像は、カフェ「ブラジレイラ」のテラス席の一部のよう。
ペソア氏、こんな像にもなっています。
古本市にも、ペソア氏似顔絵の表紙の本がいっぱい並んでいました。
古本市を出していたのは、世界最古の本屋さんとギネス認定のベルトラン書店。
ブロンズ像、あちらこちらで見かけました。ファドを演奏するふたり。
ふたりは、美しいと評判のロシオ駅にたたずんでいました。
宝くじ売りのおじさんのブロンズ像。
おじさんは、サン・ロケ教会の前の広場にいました。
これは本物の黒猫さん。ゆっくりまえを横切っていきました。
おはようございます!
そちらは、まだ夜中でしょうか?
夜明けの光景は、本当に美しいですね。
街のざわめき、人々の会話、こちらまで届きそうなぐらいです。
ビールも美味しかったことでしょう。
そして、黒猫が似合う街ですね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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