娘が、鰻をご馳走してくれた。
2ヶ月遅れの夫の誕生日祝いだ。
清里に新しくできた「Blowin' in the Wind」という名の鰻とレコードの店は、夫のリクエスト。
友人の「鉄刻屋」さんがドアの把手を作っていて、知ったという。
娘が予約を入れ、土曜のランチに3人で出かけた。
涼やかな空気を窓の外から感じる広く居心地のいい店内で、何を話すでもなく3人で鰻が焼けるのを待つ。それでも家族共通の話題は途切れることなく、また途切れたところで誰も気にせず、緩やかに時間が流れていく。
「鰻って、英語でなんて言うの?」
と夫が訊き、娘が「eel」と答えている。
BGMはビートルズのレコードが流れていて、何枚か張ってあるポスターもビートルズ。
夫とわたしの世代には、空気のように自然なメロディだ。
そこへ、待ちに待ったうな重が登場。
3人しばし無言で、うな重に集中した。
「鰻食べてると、静かだね」
夫が言う。
「会話いらない美味しさだね」
わたしが答え、娘が笑ってうなずく。
家族っていいな、そして、鰻、いいなと思ったランチだった。
以前、お蕎麦屋さんだったお店を改装して開店したばかりです。
和と洋が融合した雰囲気が素敵でした。
重みのあるドアの把手は「鉄刻屋」さんの作品。
内装も洒落ていました。
まずトマトの優しい味の漬物が出てきて。
サントリーウイスキーの樽をリサイクルして作ったというお重!
肝吸いもついていて、上品です。
そして、鰻がめちゃくちゃ美味しかった。美味しいと無言になりますよね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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