CATEGORY

BACKNUMBER

OTHER

はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

みんなそろって西向いて

夕方、窓から夕焼けが広がっているのが見えて、外に出た。

西の空というより南から北の空まで、赤く橙にピンクに紫に、染まっている。

「こんなにきれいな夕焼け、久しぶり」

しばし西の空を仰ぎ、放心した。

 

家の前からだと、西側には南アルプス連峰が連なっている。夕日はそこに落ちていき、夕焼けは山々の向こうに広がっているように見える。

しかし山の向こうから見たら、逆にこちら側に夕日が沈むわけではない。

そのさらに西、中央アルプスに夕日は沈んでいくのだろう。南アルプスの向こうに暮らす人たちも、今こうして夕焼けを見ているだろうか。空は同じように、赤く橙にピンクに紫に染まっているのだろうか。そしてさらにその向こうには、北アルプスがある。中央アルプスの向こうに暮らす人たちもまた、北アルプスに沈む夕日を、夕焼けを見ているのだろうか。

 

きっと今、いつもの夕暮れ時よりも西を向いている人が多いだろう。みんなそろって西向いて、ただただ夕焼けがきれいだと思う。そんなふうに何の計算もない気持ちを共有できるって、じつは滅多にない素敵なことなのかも知れない。

CIMG2250我が家の前から見た南アルプスの夕焼け。太陽光パネルにも映っていました。

CIMG2246

アップにして左から、鳳凰三山の地蔵岳から甲斐駒ヶ岳。

CIMG2230薬師岳、観音岳、地蔵岳と並ぶ鳳凰三山。だんだん色も変わっていきました。

CIMG2244暮れていく空の色に、センチメンタルな気分になりますね。

『空の名前』を開くと、夕暮れ時の空の名がいくつも載っていました。

「黄昏(たそがれ)」誰そ彼はと、人の顔も見分けられない時間。

「夕」「夕方」「夕まし」「夕間暮れ」「夕焼け」

「夕映え」夕日の光を受け、周りのものが美しく輝いて見えること。

「茜空」「茜雲」アカネ科の蔓草の根で染めたやや沈んだ赤色の空や雲。

「薄明(はくめい)」太陽が沈んでからしばらくのあいだの薄明るい時間。

COMMENT

管理人が承認するまで画面には反映されません。

CAPTCHA


PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

ご意見などのメール

CATEGORY

カテゴリ

BACKNUMBER

バックナンバー

CALENDAR

カレンダー
2024年4月
« 3月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

COPYRIGHT © 2016 HARINEZUMIGA NEMURUTOKI. ALL RIGHTS RESERVED.© 2016 HARINEZUMIGA NEMURUTOKI.