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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

中身は見えない

心のなかも見えないが、服の中身も見えない。

「金具やプラスチックのある下着は、とってください」

レントゲンを撮る際に、言われた。

「金具もプラスチックも、ありません」

そう答えると、レントゲン技師さんはこちらが驚くほどにびっくりした。

「ないんですか?」

「はい。ありません」

40代くらいの男性だ。女性の下着事情に詳しくないのだろう。最近では「楽」を前面に出したホックなどのまったくないブラがけっこう人気なのだ。かっこいいスーツに身を包み、楽なブラをしている女性だって多いはずだ。そう教えてあげたかったが、余計なお世話だろうと思い直し、そのままレントゲンを撮ってもらった。

 

「五十肩ですね」

整形外科の先生は、きっぱりと言った。

昨年9月ごろから痛み始めた左腕は、肩へ首へと痛みが広がりひどくなるばかり。体操や整体で一時的に楽になっても、どんどん進行していくのがわかり、ギブアップしてステロイド注射を打ってもらうことにした。

 

注射を打ってもらい、少し楽になって薬局に痛み止めの飲み薬と貼り薬をもらいに行くと、受付の女性に声をかけられた。

「入院されていたんですか?」

薬から、ケガが回復して退院したと思われたようだ。

「いえ。五十肩で」

そう言うと、わたしと彼女は、申し合わせたかのように声を合わせて高らかに笑った。笑うととても愉快な気分になった。五十肩、笑えるんだよね、これが。

だけど、夜も眠れないくらい痛いんだよね、これが。

 

服の中身も見えないけれど、心のなかも肩の痛みも見えないんだよ。

そう思いながらも、声を上げて笑い、その見えない心のなかにくつくつと可笑しさがこみあげてきたのも、また事実なのだった。

CIMG7528病院の帰りに寄ったコンビニで、バックミラーのなかに富士山が見えました。富士山の気持ちも、逆さに映っているのかな?

 

☆『地球の歩き方』特派員ブログ、更新しました。

【「暮らしを楽しむ気持ち」を手渡したい~器と雑貨の店『萌木窯』】

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  1. ぱす より:

    こんばんわ。
    五十肩だったのですね。
    寝られないほど・・辛いですね。
    私も、四十代後半。四十肩か、五十肩でした。
    最初、左肩でそのうち両方。
    腕が上がらず、開かず・・接骨院から整形外科に行って、MRIも取ってもらい
    リハビリを続けました。
    でも、通っているうちは劇的には治らず、諦めた頃、知らぬ間に治っていました。
    こんなものかと思っていたら、知らぬ間にでした。1,2年後だったと思います。
    痛いのはつらいですが、そのうち治るものらしいですよ。他の人もそう言っていました。
    長い目で、しばらくつき合ってくださいね。辛いですが・・・どうぞお大事にね。

    • さえ より:

      ぱすさん
      ありがとうございます♩
      ぱすさんも経験されたんですね。じつはわたしも2度目で、反対の肩でした。
      ステロイド注射をしたら4回、1カ月で劇的に完治したんです。
      でもステロイドって身体にはよくないものだから、なるべく打ちたくなかったんですよ。どうにも我慢ができなくなって結局打ってもらうことにしましたが。
      それにしても両腕は辛かったでしょうね。想像もしたくない感じです。
      ムリせずでも動かしながら、がんばって治します。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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