道路に白くプリントされた一旦停止の「トマレ」の文字を、「トマト」と読んだことはないだろうか。
わたしは何度もある。「トマ」まで片仮名で来たら、次に続くのは「ト」しかないという予測が働く。まったく不必要な予測から発生し、わたしのなかで「トマレ」と「トマト」はワンセットである。
東京の道を久しぶりに歩いた。すると、片仮名の「トマレ」ではなく漢字と平仮名の「止まれ」になっている。そう言えば山梨でも片仮名は少なくなってきた。
「トマト」と間違えないように、改善しているのだろう。片仮名の「トマレ」もいずれ消えゆく運命にあるのか。
「トマト」ではない「止まれ」を見ていたら、ちょっと淋しくなった。歩きながら、これがほかの言葉だったらとつらつら考える。
様々考えて、最良案となったのは「きっと、うまくいく」だった。
日本じゅうの道路にそうかいてあったら、下を向いて道ゆく人は、希望が湧くんじゃないかな、と。
まあ、一旦停止の道路標識なんだけどね。
いや、でも道路交通法の方を変えて「きっと、うまくいく」のところでとりあえず立ち止まりましょうと決めれば、これだって「きっと、うまくいく」よね?
東京で入院している父を見舞いました。「トマレ」片仮名は今珍しいんだね。
自転車マークのなかには平仮名の「とまれ」
歩行者マークのなかも平仮名で「とまれ」でした。
最寄り駅から病院まで徒歩10分ほど。鳩たちが集う公園あり。
山茶花の咲く、通路あり。父は治療のための期限付きの入院なので、のんびり休養して顔色もよく、変わらずおしゃべりでした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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