東京でホテルに泊まると、ときに不便を感じることがある。
ハサミがないのだ。
先日も、夫に頼まれてタオルハンカチを何枚か購入したのだが、すぐに使うとは思わずタグを外してもらわなかった。
だが急に暑くなったからか、それを使いたいという。
しかし、ハサミがない。
ホテルでは、事故につながる道具は置かない決まりなのだろう。
結局、フロントに行ってタグを切ってもらった。ことはそれだけで済む。ただちょっと不便だな、と感じるだけだ。
小さな出来事から、読んだ本のワンシーンを思い出すことがよくあるのだが、このときは一編の詩を思い出した。
西村祐見子童謡集『せいざのなまえ』に収められた『はさみ』だ。
「はなればなれに したものを
いつか こうして むすびたい」
つくえの なかで
はさみは ひとり
りぼんむすびに なっている
タグを切ってもらったハンカチを受けとり、フロントの女性のやわらかな笑顔に礼を言うとき、「りぼんむすびになっている」と胸のなかでつぶやくが、口にはしない。危険物として取り扱われているそのハサミが、そっとしまわれた場所にただ微かな温度を感じていた。
タグを切ったタオルハンカチです。夫のハンカチ選びはわたしの役目。
西村祐見子童謡集『せいざのなまえ』といつも使っているハサミ。
さえさん、こんにちは!
ハサミを開くと確かにリボンが結ばれているように見えますね。
「せいざのなまえ」というタイトルのついた童謡集、素敵です。
童謡はひらがなで書かれていることが多いのに今さらながら気づきました。
ひらがなから感じるのは、日本語のやさしさ、やわらかさです。
童謡集の装丁もすごくいいです。
ちょっと気持ちが疲れたときに読むと癒されそう。
papermoonさん
こんばんは♩
でしょう!この童謡集、大好きでふとしたときに開いています♡
動揺というより「詩」のイメージで読んでいます。
そうか~たしかにひらがなって日本語の優しさ、感じますよね~
そう言えば、娘ふたりの名前はひらがなです。
優しい感じに魅かれたのかも知れません。
おススメの本です♩
さえさんは、東京でお仕事の時は、いつもホテルですか?
私がホテルを利用するのは、旅行の時くらいですが、ハサミとか爪切りとか必要になる時ありますよね。
旅行の時、気が付けば携帯用の裁縫道具を持って行く時もあるんですけど、忘れる方が多いです。(笑)
ハサミで思い出すのは、母と沖縄旅行へ行った時、行きの飛行機の搭乗検査で、母は手持ちバッグに普通に大きなハサミを入れていたんですよ。
「飴の袋とか切るのに便利やと思って・・・」って、知らなかったんですね。
もちろん没収されて、可哀想な事をした事がありました。
もうずいぶん前の事なのに、飛行機の搭乗検査の所に行くたびに思い出します。(^^ゞ
ユミさん
東京では夫が毎週ホテルを使っているので、行くときにはツインにしてもらうようにしています。
たまーに困るとき、ありますよね~
ソーイングセット、持ってると便利ですね。何かのおまけで貰った小さいのがどこかにあったかも。探してみます。
お母さま、切なかったですね~
ハサミではないんですが、わたしもイタリアでメッツァルーナという包丁を購入してすぐに美術館に入ろうとして、ブー!ということがありました。考えなさすぎ(笑)でも警備の人も「メッツァルーナ?」って笑ってくれて、あとから戻ってきたのでよかったんですが。
いつの頃からか、私のバッグにはいつも鋏が入っています。ソーイングセットの小さなものではなく、持ち手がしっかりしていて、刃の部分にサックのついた一人前?の鋏です。全長10センチ。
誰かが使っていたのを見たのかも知れませんが、文具の専門店で見つけて、これこれ、と買ったのはもう何年前になるでしょうか? いいお値段にちょっと怯んだけれど、これが思いがけなくいろんなところで役立って、我ながら驚きます。嵩張らず行方不明にもならず、ずっと一緒です。新幹線の隣席の人に「それいいですねえ。どこで買われたのですか?」って聞かれたこともあります。空港ではわずか1センチオーバーでチェックされますが。
近年、パッケージのなども機械化でしっかりしすぎて、年齢と共に指先の力も弱くなり、会合などでも意外に鋏が必要で重宝しています。わが家はキッチンは勿論のこと、食卓にも、パソコン机にも、ベッドの枕元にも、洗面所にも、と作業する場所場所に鋏があります。鋏ってやっぱり便利だと感動?しながら。
Yasukoさん
そうなんですか~ハサミ、いつも持ち歩かれているんですね。
わたしは重いものは少しでも持ちたくないっていう心理から、余計なものは鞄には入れないようにしているんですが、小さくて軽いハサミ、探してみようかな。
確かにパッケージ、開けにくいしっかりとしたものが多くなったように思います。
家ではすぐにハサミの登場です。
ハサミ、ほんと便利ですよね~ハサミを作った人に乾杯~♩
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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