肺の手術をするため入院していた父が退院し、東京の実家に見舞いに行った。
順調に回復しているようで、入院中よりずいぶんと元気になっていて、ちょうど弟と、父の妹である叔母も見舞いに来てくれて、にぎやかな昼食となった。
叔母は母と同い年の82歳。足腰も達者なのだが駅まで迎えに行き、また帰りも見送り一緒に歩いた。両親が暮らす付近は平坦で自転車が多く、ときどきそのスピードにひやりとする。足早に歩く人も多い。わたしは叔母と、ゆっくりゆっくりと歩いた。歩きながら、不思議な感じがした。
これまで見えていなかったものが見えてくるような、そんな感じ。
ひとりで歩くときには、足早に通り過ぎていた風景が、一つ一つシャッターを切ったように一枚一枚切り取ったようにくっきりと見えてくるのだ。
子どもたちと散歩した日々を、なつかしく思い出した。
まあ、子どもは急に走り出したり、ひとところにいつまでもじっとしていたり、のんびり風景を楽しむというのとは違っていたような気もするが。
最近ではすっかり山梨の水に馴染んだのか、東京に出るたび、駅などで歩く人のスピードが場所によって違うことに驚く。流れと違う方向に行きたいときには、思うように進めなかったりする。歩く速度って、みんな顔が違うように、指紋や耳の形が違うように一人一人違っている方が自然なのに、誰もが周りに合わせ同じ速度で歩いていることが滑稽にも思えてくる。それもわたし自身、歩く速度が少しずつスローペースになっているからこそ見えてきたことなのかも知れない。
まあ、それもいいか、と思う。ゆっくり歩くのも、いいものだ。
東京の空は、四角いなあ。
それでもやっぱり、青いんだよなあ。
ツツジが一輪だけ咲いていました。季節が判らなくなっちゃったんだよね。
東京に出かける楽しみのひとつは、駅弁です。
東京駅に売っていた豚めし。美味しかった。
さえさん、お父様退院おめでとうございます。
お家に戻られて、お母さまや皆さんのお顔を見たら、きっと今以上に元気になられると思います。
ゆっくり歩く、大切ですよね。
大切っていうより良いことだと最近思います。
今まで私も意識してなかったことだけど、この年になると周りの景色も気になるし、立ち止まうこともしばしば。
来年仕事をやめようと思ってるんですが、そうしたら今まで苦手だった散歩を、もっとしていきたいって思っています。(^^♪
ユミさん
ありがとうございます。88歳の父は、会うたびに歳をとったなあと思ってしまいますが、それでも入院中とは感じられる気力のようなものが違っていてずいぶん元気になったなあと思いました。
ほんと、やっぱり年齢がいくと感じられることもあるんですよね。
ゆっくり歩いて、その速さだからこそみられるものをいっぱい見ていきたいですね。
散歩、いいですよね~♩
うちの周りで歩いている人はたいていがジョギングかウォーキングです。わたしも歩こうっと。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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