帰国したら、明野は冬の入口に立っていた。
山々は一斉に雪化粧して見せ、富士山に至っては、しばらくは解けないだろうと思わせるほど真っ白になっている。
八ヶ岳は、秋の粧い(よそおい)を見せながら、ときに雪化粧し、というのを繰り返していくのだろう。
夏山よりも、鋭く尖ったように見えてくるから不思議だ。
それでもこの時期の山は、まだ「山粧ふ」の季語が当てはまるようだ。
春には「山笑う」
夏には「山滴る」
秋には「山粧ふ」
冬には「山眠る」
この季語は画論『臥遊録』からとられたと『俳句歳時記』にあった。
春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如し
雪の蒲団をかぶったり解かしたりしながら、これから眠ってゆく山々。日々変化する粧いを、見つめていこう。
山粧ふけものの道もくれないに 檜紀代
雪化粧して凍った八ヶ岳。
南アルプス連峰の甲斐駒ヶ岳も凍って。
鳳凰三山も。
茅ヶ岳も冠雪していました。
富士山は、真っ白。
その日の夕方。キャットウォークから見た八ヶ岳。夕焼けも「粧い」かな。
車を走らせて1分ほど、南アルプス連峰の夕焼けを撮りました。
甲斐駒ヶ岳の辺りが、いちばん赤かった。
夕焼けは、すぐに夕闇になっていました。
翌日、甲斐市の農道で見た晴れ晴れとした富士山。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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