毎朝八ヶ岳は、様々な顔を見せてくれる。
たいてい6時半に起きるのだが、日の出で赤く染まった姿はよく見られる。だが、その染まり方が驚くほどに違う朝もある。
この日は、リビングの西窓から赤松越しに見える南アルプス連峰の鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳が明るいピンク色に染まっていた。蛍光ペンのように発色したピンクだ。
夫が、歓声にも似た声を上げた。
「え、じゃあ今、八ヶ岳は?」
あわててリビングの北窓のカーテンを、開ける。
「おーっ!」
「おーっ!」
八ヶ岳も、蛍光ペンでてっぺんだけをピッと塗ったかのような不思議な様子をしていた。モノクロ写真に、そこだけ色をつけたような見たことのない光景だった。
最近、手話教室のイベントのために久しぶりに工作をして、絵の具を塗った。
色を作って塗ると、簡単に染まっていく。その感覚が、八ヶ岳の不思議ともいえる見たことのない色合いとシンクロしたのかもしれない。
蛍光ペンでも、絵の具でも染まるはずのない八ヶ岳は、瞬く間にピンク色を消し、清々しく青い姿を色濃くしていった。
見たことのない光景でした。
権現岳と赤岳。
こういうのは、朝焼けとは言わないそうです。(夫談)
朝9時。リビングの北窓です。
青く青く、色を濃くしていきました。
手話祭りで、教室のみんなでサザエさん一家のパフォーマンスをすることになり、久しぶりの工作。
わたしの役は、なんと波平(笑)
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。