家事のなかでも、洗濯物を干したりたたんだりするのが好きだ。
子どもたち3人が一緒に暮らしていた頃には、追いかけられるようにしてやっていたその仕事が、今時間に余裕ができ、のんびりと気持ちを解放する癒しタイムとなっている。
洗濯物には、干し方にもたたみ方にもその家の、あるいは主婦の流儀がある。
靴下は1足を2~3つ折りにし、くるんと丸める。
Tシャツは、引き出しの1/2の大きさになるように、たたみ方を考えた。
小さなことだが、工夫ひとつで暮らしやすくなる。
主婦は日々、なんともクリエイティブな仕事をしているのだなあと実感する。
先日のこと。夫がTシャツのたたみ方について、提案があるという。
黒や紺のTシャツが多く、その柄が内側に入っていると開くまでどれなのかわからない。開いたらせっかくたたんであるシャツがぐちゃぐちゃになってしまう。だから、柄を外側にしてたたんでほしいとのことだった。
なるほど、と自分の想像力のなさを知る。
わたしはプリントTシャツをほとんど着ないので、わからなかった。
よかった、と思った。
文句ではなく、きちんとリクエストをしてくれて。
同じことを伝えるにも、こんなたたみ方じゃぐちゃぐちゃになるだろ、とか言われたら、ケンカになる。
家族だからこそ、些細なことにムッとしたり、それが許せなかったりする。家族とケンカなどしたくないのはみな同じはずなのに、小さなすれ違いを繰り返しているうちに気持ちがこじれてしまったりもする。
プリントが見えるようにTシャツをたたみながら、やっぱり洗濯物をたたむのが好きだと思う。温かな秋の陽射しを背中に浴びて、静かに気持ちを解き放っていった。
背中に太陽のぬくもりをいっぱいに感じながらたたんだ洗濯物。
夫のお気に入り「スターウォーズ」ならぬ「スター魚津」Tシャツ。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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