「あのさー、あれ、ちゃんと直してから洗濯に入れてくれない?」
わたしの言葉に、夫は誤魔化すように言う。
「ああ、あれな。あれ、たいへんなんだよ」
何のことはない、五本指靴下のことだ。
「洗濯してから、濡れたのを直す方がよっぽどたいへんだよ」
ぶつぶつ言っても、それ以上の返事は返ってこない。そして忘れた頃にまた、丸まった五本指靴下を洗濯かごの中で発見する。
愛する人がそばにいてくれる。それだけでいい。
(『カフーを待ちわびて』より)
だがそうは言っても、愛する人にはぜひ、洗濯かごに入れるとき、五本指靴下をちゃんと五本指を揃え直してから入れてほしいものなのだ。
たぶん互いに「それくらい、やってよ」と思っているのだろう。夫婦の間には、その「それくらい」のつまらぬことが数多くある。
久しぶりに両親に会い、味噌汁の味について議論するのを聞いた。
ケンカというほどのことではない。母は身体のためにと薄味の味噌汁を好み、父は美味しく食べるのがいちばん大切としっかり目の味つけを好む。濃く作って、自分の分だけ薄めればいいと父は言うが、母は母で、身体のためにというのを譲る気はないらしい。
傍で聞いていると、まさに「それくらい」のつまらぬことだ。
だが、譲れない気持ちも判る。家じゅうのそこここに数え切れないほどの「それくらい」のつまらないことが落ちているのだ。
高く高く積み上げた、積み木のジェンガを思い出す。きれいに積んだ積み木のタワーから、順番に一本ずつ抜いていくゲームだ。
この一本ならだいじょうぶだろうと抜いたがために、すべて崩れ落ちるときがある。そうかと思えば、こんなところ抜いたら危ないでしょうというところで、妙なバランスを保っていったりもする。
はてさて、五本指靴下を巡る攻防の行方は如何に。
靴下のたたみ方も、それぞれの家庭で違うと思います。 左はレッグウォーマー。真ん中は千代治の靴下。右は夫の五本指靴下です。
我が家のたたみ方は、まず半分または三分の一に折ります。
長いのは三分の一に。こんなふうに大きさをそろえると収納にも便利です。
最後にくるんと丸めて、これで一足が離れ離れになることはありません。
こんにちわ。
3つ並んだ靴下かわいいですね。
靴下のしまい方も家庭様々ですね。
私も母からの伝授で、2つ重ねて包み込みます!
バラバラに、ならずにいいのですが、友人に以前包み込むときにゴムの部分が伸びそうと指摘されました。
(笑)
それほど伸び伸びにはならないですよね♪
一瞬引っ張るけどそれほどの力を入れてないですしね。
一度これで定着するとずっとそれが普通になりますね 。
さえさんと、共通点何かとありますね♪
ぱすさん
こんにちは~。お母さまから教えていただいたんですね。
わたしは、このたたみ方、雑誌で覚えました。何の雑誌だったんだろう。若い頃からやってたからもう思い出せませんが。
ゴムが伸びるほどはひっぱりませんね。とくに慣れれば、くるんといきますよね。
ほんと、ぱすさんとは共通点がいっぱい。うれしいです♩
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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