山梨の郷土料理「ほうとう」に”ミミ”があることを、初めて知った。
だが”ミミ”といっても、ほうとうの切れ端などではない。わざわざその形に作ったもので、富士川町十谷地区の郷土料理だそうだ。
農作業に使う「箕(み)」に似ていることから、”ミミ”と呼ばれるようになったとか、耳に似ているからだとか諸説あるらしい。
この形から「福をすくう」と言われていて、十谷では正月などの祝いの席で食べられていたという。
ほうとうを打ち、この形にするのは手間がかかったはずだ。
なぜそんな労力をかけ、作っていたのだろう。
「福をすくう」というのは、後づけなのか、もともとそう言われていたのか。
考えてもわかることではないが、なぜ、と思ってしまう。
美味しいものが出来上がるきっかけは、けっこう偶然が多い気がする。珈琲を焙煎するようになったのも山火事で珈琲豆が焼けたからだという説もある。
どんな偶然があったのか。みみほうとうを食べながら、むかしむかしの富士川町に思いを馳せた。
甲府駅の土産物屋で、見つけました。
たしかに「箕」の形に、そっくり。
ビールにも合うし、身体にもよさそう。茹で時間は5分。普通のほうとうより薄く短時間で煮えました。厚めのワンタンみたいな感じです。
これが、現代の「箕」です。むかしは、竹などで編んだものを使っていたそうです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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