夢を見た。

友人たち5～6人で、知らない街を歩いている。どこか目的の場所があり、探しているが見つからない。古びたアーケードの電車の車両のように細長い喫茶店に入ったが、入口のドアがないばかりか、両側に木製の椅子が並んでいるだけでテーブルもない。メニューもない。しかし、友人たちは平たく大きな杯に入ったカフェオレを注文し、美味しそうに飲んでいる。迷った。アイス珈琲にするか杯のカフェオレにするか。そして考えた。

「アイス珈琲にするには、ちょっと肌寒いな」

結局カフェオレをオーダーしたが、友人たちが飲み終えてもまだ来ない。友人が手に持つ杯の端についていた飲み終えた後の珈琲色に染まった牛乳の膜が、目が覚めてなお脳裏にくっきりと浮かび上がっていた。

夢のなかで「温度」というものを認識したのは初めてだった。

夢占い的には、「寒さ」は「不安」の表れだとか。

だがこれは違うなと思った。自分の単純さが嫌になるが、急に肌寒くなったなと思った前日、今シーズン初おでんを煮たのだった。寒さはまっすぐに寒さの表れであり、たぶんそれ以上でも以下でもない。

ところでおでんを煮始めてから、じゃが芋を切らしていることに気づいた。というか、あるとばかり思っていたのだ。前の晩、じゃが芋4個を使ってポテトグラタンを焼いたのをすっかり忘れていた。それが記憶のなかで「じゃが芋はあるはず」－「ポテトグラタンに使った」＝「？」の計算式にならなかった。結びつかなかったのである。夢の記憶など忘れてもいいから、そういうことはちゃんと覚えておいてくれよと買いに走ったが、残念ながら記憶は選べない。いろいろなことが、日々曖昧になっていくのが、不安と言えば不安である。

それにしてもあの、と考える。小さめの洗面器とも言えるほどの大きな平たい杯を両手に持ち、熱いカフェオレをふうふうとすすりたかった。

ふたり暮らしなのに、たっぷり煮るのは変わりません。

じゃが芋、男爵だったのでほっくほくでした。

おでんには日本酒ですね。山梨のお酒です。谷桜酒造の「粒粒辛苦」

これが犯人のポテトグラタン。って、犯人は自分だよね(笑)アンチョビと栗、長葱入り。生クリームとモツァレラチーズで焼きました。