冬の雨が上がった朝、庭で蕗の薹がたくさん採れた。
すでに2度天麩羅にしているので、たっぷり使って蕗味噌を炒めた。
「蕗の薹」は、春の植物の季語。傍題に「蕗の芽」「蕗の花」「春の蕗」などがある。
ほとばしる水のほとりの蕗の薹 野村泊月
春の兆しに芽を出す植物の傍らにありながら、水はきっと痺れるほどに冷たいのだろうと想像した。
また「蕗味噌」は、春の生活の季語。
蕗味噌や音なくひらく月の暈 神尾久美子
やはり凜とした夜の冷たさを思う。生活のなか食卓の味噌を見つめ、そこから月夜に視点を移す美しい句だ。
『俳句歳時記・春』にはなかったが、まさに蕗の薹を味わっている臨場感満載の句も見つけた。
蕗の薹の舌を逃げゆくにがさかな 高浜虚子
言い得て妙だ。
味噌にまづ箸をつけ親しみぬ 勝又一透
そういう味かもしれない。おもしろい。
舌を逃げゆく苦さに、まず箸をつけて親しむ日々である。
きのうの朝、2階から見た八ヶ岳。雪化粧を濃くしていました。
手のとどきさうに雪嶺はるかなり 松永浮堂
こちらは2階のベランダから見た、南アルプス連峰。
南アルプスが、こんなに白くなるのは珍しいんです。お昼には、だいぶ解けて山肌が見えていました。
泥だらけの蕗の薹たち。32個ありました。これでも、泥をとった後なんです。
洗って、傷ついた部分を取り除いた状態。これを刻みました。
去年かいたレシピノートを見ながら。
刻んだらすぐに炒めると、色よく仕上がるとか。
できあがり。
お昼ご飯に、さっそく食べました。ほろ苦さがたまらない。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。