「あ、豆腐の味噌汁、久しぶり。美味い！」

夫の言葉を聞き、そう言われれば、味噌汁に豆腐を入れたのは確かに久しぶりだったと思い至った。このところ、油揚げといくつかの野菜ときのこ類を組み合わせることが多くなっていた。朝食にしか作らない味噌汁だから、よけいに具だくさんにして栄養をとろうという算段だ。

その朝は、それでも油揚げのほか大根とワカメも入れていたが、最近こういう基本の味噌汁からちょっと遠くなっていたのかも知れない。

「ほんと。こういうシンプルな味、久しぶりだったかも」

豆腐もワカメも大根も癖がなく、たがいのいいところを引き出してやわらかな味を作り上げているように思えた。もしかしたら、味より栄養の方向へずんずん突き進み、ある時点で癖のある味の壁を超えていたのだろうか。具だくさんもいいけれど、シンプルな基本の味噌汁もまた美味しい。何ごとも、初心に帰ることって大切だ。

いつも、いろいろな方向から物事を見ていたいと思っているけれど、知らぬ間に偏ってしまったり、ひとつの考えに捉われてしまったりしてしまっている。そういうときには目をつぶって大きく深呼吸をして、自分を解放してあげなくちゃ。

食事は、もちろん栄養を摂取することが目的なのだが、そこに固執しすぎると楽しむことができなくなる。楽しんで食べられなくなったら、それは身体にもよくないわけで。健康に気を使いながら、しかし「美味しい」をファーストプライオリティに、料理をしていこうとあらためて思った。

豆腐とワカメと大根と油揚げの味噌汁で、朝ご飯。茗荷の薬味も久しぶり。

豆腐と菜っ葉と油揚げの味噌汁。納豆とサラダの朝ご飯です。

多治見で食べたランチのお味噌汁は、牛蒡と油揚げだけでした。美味しかった。