原作×脚本×主演=バカリズム。
ドラマ『架空OL日記』がとてもおもしろかった。
〈cast〉
バカリズム【私】みさと銀行一般職OL。実家住まいでややインドア派。何かとややズボラ気味な性格。
夏帆【藤川真紀】通称、〈マキちゃん〉。〈私〉の同期で親友。ストイックな性格で筋トレにハマっている。
臼田あさ美【小峰智子】通称、〈小峰様〉。アネゴ肌で上司にはっきりモノをいう、〈私〉の頼れる先輩。
佐藤玲【五十嵐紗英】通称〈サエちゃん〉。〈私〉の後輩で、妹キャラ。漫画が大好きで、やや天然な一面を持つ。
山田真歩【酒木法子】規律に細かく、家庭的なしっかりものの先輩。趣味は太極拳とカラオケ。
銀行員の女子たちの日常を描いているのだがストーリーというほどのものはなく、見どころはといえば、ウィットに富んだどうでもいい会話だ。
たとえば、第1話。
寒い朝、駅から銀行まで歩きながら〈私〉と〈マキちゃん〉がしゃべっている。
「なんかさー、毎週おんなじようなこと言ってるけど、言っていい? マジで、どこでもドア欲しいよね」
「ほんと。毎週こんな話してるけどさ、欲しいね」
「ヨドバシとかに売ってたら、絶対買うよね」
「あー、買う買う。並んででも買うな」
「2、3時間とか余裕で並ぶ」
「朝5時くらいからでも並んで買えるよね」
「うん、買える」
「しかもさ、値段もそこそこ出せるよね」
「あー、出せるね。え、ローンとかありでしょ」
「ローン? ローンは、あり!」
「あり!」
「っていうか、そろそろ売り出してもいい頃じゃない?」
「なんかさー、化学マジでがんばれよって思うよね」
「ほんと、こっちはそれ待ちだからね」
このあと、どこでもドアを部屋のどこに置くか、部屋のなかを見られないようにするにはと話しが続く。
すべてが、こういった感じでゆるくゆるく続いていく。
「マジどーでもいいよね」とか言いながら、マジどーでもいいことが日々問題になっていく。
そしてバカリズムは、彼そのままの姿でスカートを穿き、淡々と女子行員を演じてゆく。そこがもっともシュールなところなんだけど。
女子行員たちの話題は、いつも副店長”羽田”の悪口に落ち着く。”羽田”というニックネームも話題が常に着陸する先ゆえにつけられた。月曜は仕事に行きたくない症候群に陥るため、”月曜”を擬人化し「月曜、マジむかつく」と悪口を言い合うし、ダイエットを決意した夜には、”食事”とお別れする送別会で焼肉を食べまくる。
そんな彼女たちは、ある程度普通である程度真面目で、ひとりひとり個性的で、それぞれがチャーミングだ。
なかでも、マキちゃんのさりげなさすぎる演技が、個人的にはダントツに好きだった。夏帆はいい女優である。
Huluで、ひとりの夜にベッドでスマホで観たりしました。
2月に映画公開してたんだね。早く観たいなあ。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。