サラマンカからピントのアパートに帰ってくると、洗濯機が壊れていた。
建物一棟に一台ある共同のコインランドリーで、2.5€で一回洗濯ができ、3€で乾燥機を回せるのだが、コインが詰まって反応しなくなっている。
夫が管理会社に電話をすると、すぐに来たスタッフの男性が、鍵を開けてコインを取り出し詰まりを解消してくれたが、機械はコインに反応しない。
「業者を呼ぶけど、明日になると思う。申し訳ない」
ここは海外あるあるで、しばらく修理には来ないだろう、このまま直らない可能性もあるとふたり肩をすくめた。
ところがその夜、洗濯機を回す音が聞こえた。
見に行くと、サンタクロースのように太った愛嬌のいいおじさんがいた。どうやら業者さんらしい。
「洗濯機は回るけど、コインとの連携がうまくいかない」
スペイン語はわからないが、そう言っているのだとわかった。
じゃあ、と夫が、「代金を払うから、今洗濯させてもらえないだろうか」と英語で頼んでみたが、これがまったく通じない。
するとサンタさんは、スマートフォンを取り出し、Google翻訳で夫とやりとりを始めた。
夫「代金を払うから、今から洗濯させて欲しい」
サンタ「回し始めた洗濯機は、あと30分止まらない」
夫「そのあと、洗濯させてくれないか」
サンタ「OK! 30分後に、部屋へ呼びに行くよ」
そんなやりとりをして、ぶじ洗濯することができた。
ここで迷うのが、彼にチップを払うかどうかだ。
彼は、断ってもいいところを好意で30分待ち、わざわざ部屋まで呼びに来てくれた。でも、チップが欲しくてやっているわけじゃないこともわかる。
しかし、とりあえず洗濯代のコイン2.5€を払おうとすると、サンタさんは、
「いらない、いらない。迷惑かけたのはこっちなんだから」的なことを(たぶん)言い、笑顔で立ち去ったのだった。
スペイン人は、激しく情熱的。カルメンや闘牛から、そんなステレオタイプのイメージを持っていた。
だが実際に接したスペインの人たちは、とても律儀で親切だった。
驚いたのは、横断歩道で立ち止まると、車が停まってくれることだ。それも、必ず。
同じラテン系でも、イタリア人とはまるで違う。(ナポリの横断歩道を渡るのは至難の業だった)
電車でも降りる人を待ってから乗るし、スーパーのレジで同時に並んでしまったらアイコンタクトで譲ってくれる。もちろん、並んだ列に割り込まない。(イタリアでは割り込みは普通だった)
明るくおしゃべり好きだけど、はしゃぎすぎない。あまり自己主張せず、わりとクール。律儀に順番を守り、誰にでも親切にする。
みんながみんなではないのだろうけれど、そういう人が多いのだと思う。
スペイン人って、じつは日本人と似ている。
旅をして10日ほど。そんなふうに考えるこの頃だ。
アパートのコインランドリー。翌日、ほかの棟の洗濯機も使えることがわかりました。
マドリッドで見た、風変わりな信号。手をつないでいますね。スペインでもほかの信号はひとりです。
ピントで見かけた猫の家。2匹いるのがわかりますか?
公文、スペインでもやってるんだ!
日曜日、ピントの教会は結婚式で華やいでいました。
すぐ近くのエヒード公園。木が洋服着てる、と思ったら。
「性差別的な攻撃に反対する木」と、かかれていました。
洗濯機が壊れるって大変ですよね。
気のいいおじさんでよかった気
公文あったんですね!
近所の公文のおばさんに丸つけを頼まれたことがありました。
忙しかったので丁寧にお断りしました。
こんなに広がっているとは知りませんでした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。