親切なスペイン人といえば、サラマンカへ行く電車のなかでも、こんなことがあった。
ギリギリになってからとった切符だったため二人並びの席がとれず、別々の席で行こうと決めていたのだが、わたしの隣に座った若い男性が、夫とやりとりしているのを見て、席を代わろうかと申し出てくれたのである。
2時間以上の電車の旅だったので、とてもありがたかった。
そんなふうに旅のスタートをしたサラマンカまでの中距離線の発着駅「プリンシペ・ピオ(Principe Pio)駅」が、なんとも素敵だった。
モネが何枚もの絵を描いたというパリの「サン・ラザール駅」を思わせるようなデザインで、早めに到着したので構内をゆっくりと歩いた。
19世紀末に建てられたレトロな駅舎を改装したという「プリンシペ・ピオ駅」は、今はこぢんまりとしているが、その昔は北の大きなターミナル駅で、「Estacion Del Norte(北駅)」という名だったそうそうだ。
どこへ行くにも使わざるを得ない「アトーチャ駅」は、大きすぎ、人も多すぎて風情などを感じている余裕がないけれど、この「プリンシペ・ピオ駅」には、小旅行や帰省などを楽しみに出かける人々のゆったりとした情緒が漂っているような気がして、ちょっと好きだった。
この三角の硝子張りのデザイン。モネの「サン・ラザール駅」の絵を思い出さずにはいられませんでした。
モネの絵には、機関車が描かれていましたけどね。
「PRINCIPE PIO」とあるのは駅ビル。ショッピングモールになっています。
東京駅色の駅舎は、19世紀からのデザイン。
地下には、メトロが走っています。日本でも珍しくないといえば、そうなんだけど、線路が宙に浮いて交差しているのが、おもしろかった。
いつも乗っているマドリッド近郊線は「セルカニアス(Cercanias)」で、ここから発着する中距離線は「メディア・ディスタンシア(Media Distancia)」。アビラ、レオン、サン・セバスティアンなどへも、つながっています。
「cafe de la estacion」チェーンの駅カフェで、パンを買って乗りました。
親切なスペイン人に「グラシアス」と礼をいい、出発。
「V」が「ventana(窓際)」で、「P」が「pasillo(通路側)」。座るときに、あわててGoogle翻訳で調べました。
サラマンカ。いい旅だったな。次は「Puerta de Atocha(長距離列車or新幹線)」から乗る予定です。「Puerta」は、扉とか門とか訳されます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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