マドリッドの「ソローリャ美術館」は、スペイン外光派の画家ホアキン・ソローリャの絵画を、生前住んでいた家に展示されている小さな美術館だ。
「外光派」とは、スケッチから完成画まで屋外で描き、風景画だけでなく人物画においても、自然の光や空気感を重視し描いたフランスの近代画の一派だそうだ。
マネ、モネなどが代表としてあげられ、「印象派」とも重なる部分があるという。
ホアキン・ソローリャ(1863年-1923年)は、スペインでは「光の画家」「光のマエストロ」と呼ばれている。
バレンシアで生まれ育ったソローリャは、バレンシアの海辺の絵も数多く遺していて、海辺にしては、やわらかな光が人物を優しく包み込むような温かみのある絵が多い。
しかし、鋭い印象の肖像画も多かった。
目力が強いというのだろうか。笑っていない、しかし決して怒っても悲しんでもいない、もちろん睨んでもいないし、ましてや無表情でもない。
それなのに、これほどまでに真っ直ぐ射貫かれたような感覚に陥るのはなぜだろうと、不思議に思っていた。
知らなかった「外光派」というワードを調べてみて、ソローリャの描いた人物の意思がくっきり浮き上がるように見える訳が解き明かされたような気がした。光が、影が、その人となりを際立たせていたのだった。
今年は奇しくも、ソローリャ没後百周年。スペインでは多くの企画展が行われているという。
美術館、外観です。個人の家だったとは思えない邸宅です。
タイルをふんだんに使ったお庭。長方形の噴水は、グラナダのアルハンブラ宮殿を思わせるよう。美術館だけではなく、庭のベンチで憩う人々が多くいました。
入口のこの2枚の肖像画に、心を捉えられました。
人物画はみな笑顔ではないけれど、悲しそうな表情というわけでもなく、瞳の輝きの強さに圧倒されました。
アンダルシアの海岸がテーマの絵を集めた部屋。
「バレンシアの漁婦 Pescadores Valencianas」
ダイニングルームと思われる部屋の壁にもソローリャの絵がありました。家のなかも庭でも、好きなものに囲まれて暮らした人だったんですね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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