読んだばかりの小説『また次の春へ』のなかで「風花」という言葉がでてきた。それが雪だということは判るのだが、イメージすることができなかった。
全国的な寒波に見舞われた週末。薪ストーブにおでんをかけながら、久しぶりに『空の名前』(光琳社出版)を開いた。空の写真図鑑のような本である。
「氷の章」を開くと、すぐに見つかった。
「冬型の気圧配置で日本海側に雪が降っているとき、脊梁山脈を超えた空っ風に乗って、きらきら光りながら雪片が舞い下りてきます。これが風花」だとある。
山に降った雪が、空っ風に乗って舞ってくる。
玄関先で、ひらりと目の端にとまり、手のひらで受けた途端に消えてしまう。やわらかく軽く、儚く消える小さな六角形。日本海側の雪ではないが、八ヶ岳おろしに乗って舞い下りてくるアレが、風花だったのだ。
馴染みの深いものだったので意外な感じもしたが、風花という言葉を得た途端、これまでより風情のあるもののように思えてきた。
趣きのある言葉を知れば、実際に見るもの、聞くもの、感じ方さえもが変わっていくものなのかも知れない。
八ヶ岳がおろす風の音を聞きながら、『空の名前』のページをゆっくりとめくっていった。雪の文字がつく言葉が30以上も並んでいた。
きのうの八ヶ岳です。雪雲にすっぽりと覆われていました。
気になったときに開く本です。心が落ち着きます。
性凝りもなくはりねずみグッズ追加(笑)マグネットタイプの栞です。
何度も貼れる付箋もついています。
「風花」って言葉は何故か胸をぐわっとさせるのです。
「冬型の気圧配置で日本海側に雪が降っているとき、空っ風に乗ってきらきら光りながら雪片が舞い降りてくる、これが風花」と『空の名前』」にあるのですね。
さえさんはこれを手のひらで受けたのですって? 「やわらかく軽く、儚く消える六角形」と。
もうずいぶん前ですが、兵庫県の日本海側の浜坂へある人の取材に出かけたとき、深い雪に足を取られながら写した写真に六角形の雪片が映っていて、カメラがちゃんと捉えていたのかと驚いたことを思い出します。
「風花の舞ふ」て言葉を使って歌が詠めたら、とずっと思いつつ来ました・・・。
憧れの言葉、だなんて言ったら可笑しいでしょうか? 『空の名前』も馴染んできた本です。
Yasukoさん
風花。ほんと、すてきな言葉です♩
Yasukoさんも『空の名前』持っていらっしゃるって、お話してましたね。
わたしも、少しずつ馴染んできた本です。
雪はときどきそうやって、六角形を見せてくれますね。美しさにハッとさせられますよね。車のフロントガラスに張り付いた六角形はよく見かけます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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