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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

見えないけれど、そこにある

家から車を走らせて、まず見える山は、南アルプス連峰の甲斐駒ケ岳だ。

「ああ、甲斐駒、綺麗。気持ちよく晴れてるなあ」

そう思いながら定点観測地点で右を向くと、八ヶ岳のわずか上に雲が重く広がった空が見えた。

「あ、こっちは曇ってるんだ」

そのまま坂を下り、富士山方向に向かう。

手話教室に行く朝で、その道々富士山はそこここに見えるのだ。

 

だがその朝、富士山は見えなかった。

すっぽり雲に覆われていた。

けれどその雲から太陽の光が漏れている。

その光を見て、あ、富士山、と思う。ほっと気持ちが明るくなる。

見えないけれど、そこに富士山があることは知っている。それだけで雲の広がった風景が違って見えてくる。

見えないけれどそこにあるものは、富士山じゃなくてもたくさんある。

たとえばカーテンの向こうの林の木洩れ日や、土鍋のなかで揺れているお米や、そのほかにも遠くに住む家族や、友人との明日の約束なんかも。

そんなものたちが、広がる雲の向こうにあわあわと浮いては消えていった。

まっすぐ坂道を下りながら見えてくる風景です。

微かに雪をのせた南アルプス連峰甲斐駒ケ岳。

右を向くと、八ヶ岳。空には雲が広がっていました。

最高峰赤岳。

並んで高さを誇る権現岳。

手話教室に行く途中のこの道の先には、富士山があるはず。

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  1. ぱす より:

    こんにちわ
    たれこめる雲と峰々の景色。
    雄大で神秘的ですね。
    その先には、富士山があるはず。
    そう思って走る、ドライブも素敵ですね!

  2. さえ より:

    >ぱすさん
    こんにちは~♩
    山にかかる雲は独特ですよね。
    後光のように光が伸びてゆく風景もよく目にします。
    でも初めて見る人には、まったく違って見えるんだろうなあと運転しながらぼんやり考えました。
    ただ近所を走るだけの曇りの日のドライブも、視点を変えると楽しいですね。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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