ワールドカップも開幕したので『パリのすてきなおじさん』のなかのサッカーにちなんだページを紹介したい。
『あそぶおじさん』の章のパリサンジェルマンファンが集うバーの店主、マチュー・パトリック(53歳)。
青と赤のしましまで彩られた店は、遠くからでもすぐにわかった。店内も青と赤だらけで、正面には「ICI C'EST PARIS(ここがパリだ)」のスローガンがでかでかと書かれたマフラー。壁には選手たちのポスター、写真、サインが貼り巡らされている。ふふふ、愛が深い。暑苦しいほど深い。
マチューおじさんが語ったのは、1980年代から1990年代にかけてのスタジアムの応援席の話だ。正面から向かって左に白人が陣取る「ブーローニュ側」があり、右は黒人やアラブ系移民が集う「オートイユ側」と呼ばれた。どちらもパリサンジェルマンのサポーターである。
ブーローニュとオートイユは、たがいを意識しながら応援合戦を繰り広げた。人種で別れてはいたけれど、同じチームを応援する仲間同士のやりとりだった。マチューおじさんは、そりゃあ熱くて美しかったと語る。
しかしブーローニュ側に人種差別主義者が現れ、ブーローニュ側対オートイユ側の抗争は激化。ついには死者が出た。
その後、差別を行うグループは解散され和解に至ったが、ブーローニュとオートイユの応援合戦を観ることはなくなった。
「サッカーはみんなのもの。肌の色が違っても血の色は同じ」
マチューおじさんは、純粋にパリサンジェルマンとサッカーを愛し、パリサンジェルマンとサッカーを愛する人たちが集うバーに今日も立っている。
サッカーをする人、サッカーを観る人、サッカーを愛する人……。そのひとりひとりに、人生があり、ドラマがあるんだよなあ。我が家にもひとりいるなあ。サッカーをし、サッカーを観、サッカーを愛する人。
マチュー・パトリック(PSGファンが集うバーの店主・53歳)
お店の名前は「パルケ」行ってみたいですね~♩
休日は草サッカーをして過ごす、マレック・ダウド(ボールを蹴るベルベル人・45歳)レストランのシェフである彼は「料理は芸術であり、わかちあう贈り物である」という。バルサファンだが、好きな選手はジダンとベンゼマ。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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