スフォルツァ城に展示されている「ロンダニーニのピエタ」を観た。
ローマのロンダニーニ邸の中庭に置かれていたことから、そう呼ばれるこの彫刻はミケランジェロにとっては4体目となる「ピエタ」だ。彼は視力を失ってからも病に倒れる寸前まで、この作品を作り続けていたという。未完の遺作である。
「ピエタ」とは、聖母子像のなかでも、死後十字架から降ろされたキリストを抱く聖母マリアを描いた絵や彫刻のことをいうそうだ。
イタリア語のPietàを、翻訳ソフトで日本語にすると「慈悲」とでてきたが、慈悲という言葉も仏教用語の「自他怨親のない平等な気持ちを持つこと」で、本来は慈(いつくしみ)相手の幸福を望む心、悲(あわれみ)苦しみを除いてあげたいと思う心という、別々の単語で構成されている。
相手の幸福を望み、苦しみを除いてあげたいと思う心。
死したキリストを抱く母マリアの姿を描く「ピエタ」には、そんな意味を持つ言葉が当てはめられているのだ。
「ロンダニーニのピエタ」は、どんな形になっていくのかも判らないような未完成というよりも作りかけのままで残されることとなったが、じっと見つめていると、そこにある母の深い愛情を感じることができた。我が子の幸福を望み、苦しみを除いてあげたいと思う心が、形となって表れているように思った。
ミケランジェロは死の直前まで「ピエタ」を作り続け、また多くの芸術家がピエタを作り出そうと情熱を傾けている。
「言葉にもできないような深い愛を、形にすることへの挑戦なのかも知れない」
そんなことを考えながら、20世紀のイタリア絵画が数多く集められたという「ブレラ絵画館」へと足を運んだ。芸術の知識もないし、難しいことはよく判らないけれど、絵のなかに込められた人の心の動きを感じてみようと思いつつ。
「ロンダニーニのピエタ」です。
イエスの足だけが美しく、完成に近いことが印象に残りました。
広い部屋に、この彫刻1点のみ展示されていました。
マリアの斜め後姿。社会科見学らしき子どもたちが、観に来ていました。
真後ろから。先生らしき女性が、一生懸命説明をしています。
イエスの左腕は最初この位置にあって、途中で構想を変え彫り直している途中に、ミケランジェロは亡くなったそうです。
「スフォルツァ城」に展示されています。
ブレラ絵画館で観た、ティントレットの「ピエタ」。
多くの芸術家がピエタを描き、また創り出しています。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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