『地球の歩き方』特派員ブログの仕事で、『ハイレール1375』に乗ってきた。JR線標高最高地点を走る星空観察会つきの観光列車だ。
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【天空にいちばん近い列車『ハイレール1375』に乗ってきました!】
その車内でのこと。
星空がイメージのハイレールには、車内でのみ売られているグッズがある。そのなかに星座缶バッジのガチャガチャがあって、1回100円だったのでやってみた。
ガチャガチャなんて、何年ぶりだろう。
なぜだかわくわくしながら、100円玉を投入。ガチャガチャ回すとカプセルが出てきた。だが、中身をとり出すと、がっかり。星座の絵はなく白地に「HIGH RAIL☆1375」の文字だけ。ハズレだ。
「あーあ、星座じゃなかった!」
売店スタッフの女性とハイレール7回目だという少年が、ふたりで立ち話をしながら見ていてくれたので、その缶バッジを見せた。
するとスタッフの女性が、ぱっと明るい笑顔になった。
「それ! なかなか出ないんですよ。アタリです!」
「えーっ? アタリなの、これ」
半信半疑で、白い缶バッジを見つめる。
価値というものは、おもしろい。自分が欲しいと思うものが価値が高く、そうでないものは低い。だが、ほかの人から見れば、天地真逆にひっくり返ることだってあるのだ。一瞬にしてそんなことを教えてくれた白い缶バッジは、それだけでもアタリなのかも知れない。
「でも、星座缶バッジが欲しいから、もう一回チャレンジしてみます」
「100円ですからね。やってみてください!」
1回目よりも、リキんでガチャガチャを回した。
「やった! 今度は、いて座の缶バッジ出ました。マイ星座じゃないけど」
すると、彼女は「よかったら、お取替えもできますよ」と言う。
「えーっ、そんなサービスもありなの?」
と言ったのは、売店で買い物中のカップルの女性。
「じゃあ、せっかくだから。水瓶座です」
スタッフさんが出してきた20個ほどの缶バッジを探り、ふたりで水瓶座を探す。だが、そのなかに水瓶座はなかった。
「すみません、ないみたいです。お好きなものと交換してください」
「ないみたいですね。じゃ、さそり座にしようかな。息子がさそり座なんで」
礼を言い、シートに戻るときには、楽しい気持ちが膨らんでいた。たった100円のガチャガチャで、こんなふうに楽しめるなんて思いもよらなかった。
JR小淵沢駅で、出発を待つ『ハイレール1375』です。
これが、星座缶バッジのガチャガチャ。
左が最初に出たハズレ? と思った方。右が交換してもらった星座缶バッジ。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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