「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道だ」
イチローのこの言葉が、好きだ。
場外ホームランのボールが行き着く先のような、とんでもないところに行くつもりはないが、「小さな積み重ね」が、好きなのである。
脳内をうまく整理整頓できないわたしには、ひとつ、ひとつ、またひとつと片づけたり重ねたりする方がわかりやすい。
経理事務を20年以上やっているので、数字が得意だと勘違いされやすいが、じつは、「1、2、3、その次はたくさん」と言いたい派である。
その経理事務も、ひとつひとつ順番に片づけていくから、滞りなく回っていく。
朝起きて、トイレに行って、ご飯土鍋の火をつけてタイマーをセットし、湯を沸かし、味噌汁の具を刻み鍋に入れ、ご飯が炊けてから洗面所に顔を洗いに行く。
ひとつひとつ、片づけていく。このひとつひとつ片づけていく感覚が、いい。
薪を運ぶときにも、腕をすぐ痛めるため、1本ずつ運ぶ。
時間はかかるが、1本ずつ運んでもいずれ運び終わる。この感覚がまた、いい。
そして毎日随筆をかき、ブログにアップしていく日々も、この夏5年を過ぎた。ひとつひとつ、積み重ねてきている実感が、すごくいい。
それでもふと、何のためにかいているのかとか、どうして毎日とか、立ち止まってしまうときがある。けれどきのう、初めて読んでいただいた方に言われた。
「かくのが、好きなんだね。それが伝わってくる」
ああ、そうだった。わたし、かくのが好きなんだ。
たぶん、そう言ってもらえたのも、積み重ねがあったからだ。
かくのが好き。「好き」って言葉っていいな。好きを積み重ねたら、とんでもないところじゃなくても、どこかには行けるかも知れない。
朝7時。久しぶりに富士山を撮りました。26日に初冠雪だった雪が、きのうの朝、台風の雲が去ったときには解けていたとか。
ススキと富士山。頭にちょこんと乗った雲。絵になります。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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