採れたての山菜、こごみをいただいた。
灰汁のない、大好きな山菜だ。
先が丸まっている様子が、ちょっと蕨を連想させる。
どちらもシダ植物で、葉が開く前のやわらかい新芽を食べるから、似ているのだろう。
だが、緑色の深さ美しさがまるで違う。
「食べて、食べて」といっているかのように見えるのは、以前食べたときの記憶が、舌に口に残っているからかもしれない。
こごみは「クサソテツ」が正式名称。
春夏の『俳句歳時記』には、季語として載っていなかった。
蕨ほどにはスタンダードな山菜ではないということか。(ちなみに「蕨」は、春の季語である)
こごみは漢字で「屈」とかく。かがんでいる様子から名がついたようだ。
縄文時代の遺跡からもこごみの化石が発掘されていて、食糧としての歴史は古いという。
丸まっているのは、芽を出す頃に雪や霜に当たらぬよう自らを守るため。何億年前に誕生したとも言われるシダ類はそうして繫殖していったらしい。地球の変化に柔軟に対応して生き残った「生きた化石」とも呼ばれている。
すぐ近くにある縄文時代の遺跡「梅之木遺跡」でも、5000年前に暮らした人たちが、こごみを食べていたのだろうか。
灰汁が少なく食べやすい、栄養豊富な食材だ。
見つけたときには、小躍りしたに違いない。そして、次の年にも食べられるように場所覚え、採りすぎて出てこなくなったりしないよう大切にしたことだろう。
深緑が美しい山菜です。
きっかり2分、塩を少し入れた湯で茹でました。
マヨネーズだけでも、シンプルに味わえますが。
鰹節と醤油を垂らすと、絶品!
天麩羅にすると、途端に”山菜”という主張を感じます。天麩羅という料理法の魔法。素材のすべてを逃がさないんですね。塩で。
朝食のお味噌汁にも。煮すぎないのがポイントです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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