庭に、雉が歩いていた。立派な雄の雉だ。美しい。
たまに「ケーンケーン」と鳴き声が聞こえているので、森に棲んでいるのかもしれない。
日本の国鳥である「雉(きじ)」は、春の季語だそうだ。
『俳句歳時記・春』には、こうある。
昔から春の雉の声は妻を恋う声として詠まれてきた。(中略)また、子を思う愛情が強く、野焼の火が迫っても子を庇って焼死するなどの逸話が伝えられている。
道などでよくつがいで、子供たちを連れて歩いている姿を見かける雉だが、こういう文章を読むと、情の深い生き物なのだと納得する。
傍題には、「雉子(きじ)」「きぎす」「きぎし」「雉のほろろ」がある。
「雉のほろろ」は、羽ばたきをして鳴くことだそうだ。
「ケンもほろろ」という言葉は、雉の鳴き声「ケーン」と、繁殖期にオスが縄張り争いのためにする翼を激しくはばたかせて音を立てる「母衣打ち(ほろうち)」からきているという記述を見つけた。
激しく、一途な鳥。そういうイメージが広がっていく。
雉の尾が引きし直線土にあり 田川飛旅子
雉の走る姿を目にしたことがある人なら、みな一途に真っ直ぐ走るが目に浮かぶだろう。
道々見かける走る雉ではなく、ゆったりと歩く雉の落ち着いた様子に、季語春の雉の季節、繁殖期は過ぎ、家族でのんびりと過ごしているのだろうかと想像が膨らんだ。
写真を撮った途端、向こうを向いてしまいました。
太ってるなあ。
ゆっくり歩いていきました。
うちの森に棲んでいるのかな?
雉が歩いていた向こう側に、新しいブルーベリーの苗を植えました。2本目です。
熟れた粒から食べています。
1本目より、粒が大きい。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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