「えーっ、切手また値上げ?」
郵便局からの通知を見て思わず声を上げたが、単に消費税が10%に上がるだけのことだった。ようやく実感する。消費増税、もうすぐなんだと。
切手は10月1日から、82円が84円に、62円が63円になる。
増税には釈然としないものがある。
だが、日々数字と格闘している経理事務担当のわたしは、84とか63という数字が憎いわけじゃないよ、と頭を撫でてあげたくなる。
苦手な数字だが、25年も傍らにいると、彼らのチャーミングな側面が見えるようになったのだ。『これは経費で落ちません』の森若さんにも、見える瞬間があるのなのかな。そうだとうれしいな。
簡単な例を挙げれば、7桁の口座番号、6桁のワンタイムパスワード、桁数もばらばらな振込金額。そのなかに510の並びを見ると、ふっと力が抜け雑踏を歩いていて家族に出会ったような気持ちになる。なんのことはない。娘の誕生日が5月10日なのだ。
当然だが、家族の誕生日から連想するイメージもそれぞれ異なる。
自分の誕生日だと、きらりと光る氷のナイフのイメージが浮かぶ。2月生まれというところから来ているのかも知れない。
誕生日だけじゃない。毎朝7時1分にすれ違った車のナンバーが「・701」で、朝や駅や車で走っている感覚が701の数字には入り混じっている。
それが意識してではなく無意識下で、あれ? なんか優しい気持ちになってる、と気づくこともままあるのだ。
自ら選んで始めた仕事ではないが、長いつきあいとなり、数字たちは、そんなかすかな温度をわたしにくれるようになった。たぶん彼らは、わたしが疲れているときや、落ち込んでいるときに、温かな並びを見せてくれたりしているのだと、最近になり確信するようになった。
82円と62円切手。あ、52円切手もありますね。酉年の。
写真を撮るまで気づかなかったけど、いのしし年の今年のお年玉記念切手は招き猫だったんですね。猫年ないもんなあ。猪くん譲ってあげたのね。
経費で落ちません、
見ています。面白いですね。経理部って脇役、地味のイメージでしたが、会社の中枢を担っていると再認識しました。
森若さんの、隣の席の後輩社員。
私の職場の若い人にキャラがそっくりなんです。
声まで似ています。
切手、最近シール切手が便利ですね。
昔ながらの、芸術性の高い切手や、新料金のミッフィーちゃんも手元に置きたいなぁと思います。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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