庭で、韮の花が咲いている。秋の花かと思えば、季語は夏。
「韮の花」という季語だ。
人去って風残りけり韮の花 岸田稚魚
愁いを含むような句が多く見られ、晩夏の郷愁が感じられる。夏が終わる淋しさを感じる頃なのだろう。
車で15分ほどのお隣、韮崎市には「韮」の字がつく。
韮の群生地があったことに由来するらしい。
近所を歩けば、この辺りでも韮の花は雑草のように道端に、堰沿いに、田んぼの畦に咲いている。
越してきた頃には、まさかあの野菜の韮の花だとは思わなかった。
レバニラ炒めの濃い緑の韮。餃子の匂いを作り出す癖のある韮。
その韮の花が、こんなにも白く清楚で可愛らしい花だったとは。
庭の韮は、残念ながら食べるのには硬い。
世話を怠っているからなのだろうが、だから、真っ白く咲く花を愛でるのみである。
一眼レフで撮りました。
外側から咲いていくんですね。蕾もまだありました。
ねこじゃらしも、揺れていました。
「狗尾草(えのころぐさ)」という名前だったんですね。仔犬のしっぽに似ていることから「犬ころ草」→「エノコログサ」と呼ばれるようになったそうです。ブログのお友達hanamomoさんに教えてもらいました。
ゑのころの金となるまで吹かれをる 下坂速穂
小紫も、濃い紫色になりました。
色を得し雫紫式部の実 日原傳
まだ緑の実も、たくさんあります。
木槿(むくげ)も咲いています。白や淡いピンクなど色はいろいろ。中心が赤いものを「底紅(そこべに)」と呼ぶと傍題にありました。
底紅や黙ってあがる母の家 千葉皓史
これは、野葡萄かな。レトロなブルー。
野葡萄のむらさきあはき思ひかな 島谷征良
零余子(むかご)でしょうか。たしか、食べられるんですよね。
音にして夜風のこぼす零余子かな 飯田蛇笏
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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