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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

どんぶりいっぱいの野菜

神代桜を見に行った帰り、初めての店でランチした。

今年1月にオープンしたばかりだというイタリアンレストラン「KaikomaKitchin(かいこまきっちん)」だ。

落ち着いた店内にのホッとしつつ、セットのパスタをオーダーした。

そのセットのサラダが、山盛りで驚いた。それも地もとの新鮮野菜だという。

 

「山盛りのサラダ見るとさ、思い出す本の一節があるんだよね」

村上春樹と糸井重里が、カタカナの言葉を片っ端から並べて話なりエッセイなりをくっつけていったという不思議な本『夢で会いましょう』だ。

そのなかの「インタビュー」は、村上春樹が食生活のインタビューを受ける様子を描いていた。

「朝は何時にお起きになるんですか?」

「五時に起きます。それで……」

「五時? 朝の五時?」

「だって今、朝の話してるんでしょ?」

「それはまあそうだけど……。でも朝の五時に起きて何するんですか?」

「走るんですよ。べつに下着泥棒やってるわけじゃない」

「ははは……、じゃあ夜は何時頃寝るんですか?」

「九時半か十時。ところで食事の話でしょ。悪いけど人をまたせてるんであまり時間ないんだ」

「そーだ、そーだ、どうもごめんなさい」

「朝食はそのジョギングが終わってから六時ごろに食べます。どんぶりいっぱいの野菜と、ロールパンが一個とコーヒーが二杯、それから目玉焼き」

若い女性記者は録音に失敗したが、「大丈夫。あたしってすごく記憶力良いんですよ」という。果たしてその記事は。

村上さんの朝は早い。起きるのは朝の五時、そしてジョギング。「いやあ、下着泥棒みたいなものですよ、ははは」と本人は照れる。メニューはサラダとハムエッグ、そしてもちろん缶ビールが二本……

「あ、それ読んだことあるかも」

夫も、印象に残っていたようだ。

 

マスコミってこんなものなんだろうなあ。そして、人の噂も。

事実と記事のまちがい探しはいくつもあるのだけれど、「どんぶりいっぱいの野菜」が単なる「サラダ」になっていたところが、わたし的にはものすごく印象に残っていたらしい。

「KaikomaKitchin」です。

大きなサラダボールいっぱいの新鮮野菜のサラダ。

わたしはホタルイカと菜の花のトマトソース。

夫は、しいたけとベーコンのカルボナーラ。

ふんわり焼けたハーブ入りフォカッチャも美味しかった。

COMMENT

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  1. ぱす より:

    雰囲気のある新しいレストランですね。
    山盛りのサラダ、ホタルイカのパスタ、フォカッチャ、どれも本当に美味しそうです。

    サラダを見て思い出すことなんですね。
    興味深く、読ませていただきました。
    言いたいこと、知って欲しい事を相手に伝えるのって難しいです。

    が・・この編集者は奇妙ですね・・。
    プロ意識あるのかなあ~。

  2. さえ より:

    >ぱすさん
    感じのいい落ち着くレストランでした。
    野菜も新鮮だし、素材の味を活かした素朴な味わいを楽しめました。
    普通のサラダを見ても、思い出すことはなかったんですが、こんなにたっぷり盛りつけてあるサラダは久しぶりで、ふと思い出しました。
    このインタビュアーは、プロ意識というところまで到底いかないやっつけ仕事って感じですよね。
    まあ、脚色しておもしろおかしくかいてはいるんだとも思いますが。
    マスコミの滑稽さを揶揄しているんでしょうねえ。

  3. ユミ より:

    ホタルイカ大好きです。
    酢味噌で食べたり、お寿司でも必ずある時は食べます。
    ホタルイカと菜の花なんて、めちゃめちゃ旬ですね~~
    ご主人とランチは気分転換になりましたね。
    村上春樹さん、健康的な生活ですね~
    ところがビール2本に変わってる・・・
    笑えますね。ぷぷっ!

  4. さえ より:

    >ユミさん
    ホタルイカ、旬ですね~美味しいですよね。わたしも大好きです。
    パスタやトマトソースにも合うんだなって再発見した気分です。
    夫が食べたカルボナーラも味見させてもらったんですが、ちょこっとトリュフの味が足してあって濃厚なのに普通のカルボナーラよりはさっぱりしてるっていう不思議な美味しさでした。
    村上春樹は、健康的な生活送っていますね。
    ハルキスト(心酔しているファン)は、ジャズを聴いてジョギングして野菜を食べるらしいです(笑)
    それが朝からビールって、ぷぷっ!ですよね~

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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