瑞々しい赤葱が、産直野菜売り場の店頭に並んでいたので、ねぎま鍋をした。
お吸い物より濃い目に味つけしたスープに針生姜をたっぷり入れ、ブツ切りの葱と刺身用の鮪のブツを入れる。鮪は生でも食べられるので半生くらいで、生卵を溶いた器にとる。次第に葱はやわらかくなり、鮪の出汁が浸み出していく。生姜の辛みと葱の甘みで、身体じゅうがほかほかしてくる冬の鍋だ。
ところでこの「ねぎま」という言葉、ずっと「葱間」だと思っていた。焼き鳥のねぎまの印象が強かったからだ。しかし正しくは「葱鮪」と、かくそうだ。
江戸の庶民に食べられていたのは、鶏ではなく安価な鮪で、それもトロは好まれなかったため、アラと同じ扱いだったという。江戸の庶民は鮪を葱と焼き、また葱と鍋にしたらしい。その後、鮪が高級食材となり葱鮪焼きは焼き鳥となったが語源は残った。
しかし言葉というものは不思議なもので、最初に抱いた印象が強く残ることもある。ねぎまの「間」も、わたしのなかには強く残っていて、葱と鮪のあいだに「間」というものがあるような気がしてならない。『冷静と情熱のあいだ』ならぬ「葱と鮪のあいだ」のようなものが。
そしてまた、葱と葱のあいだにも。よく煮えた葱を箸で捉まえたときに、つるりと中身が飛び出す瞬間、葱と葱のあいだにある旨みのようなものの存在感が、ふわりと大きくなるような気がするのだ。
町内の産直野菜売り場で買った赤葱。大束で、120円なり。
ブツ切りの葱と鮪の鍋です。千切りの針生姜が鍵になります。
鮪は、煮えばなを食べていきます。やわらかい葱が何とも美味!
お吸い物よりも少し濃いめの出汁は、昆布も多めに。白だしでもイケます。
溶き卵で。わたしは溶かずに、卵の黄身につけていただきます。
☆今年も読んでいただいて、ありがとうございました。
来年もまた、がんばります。よろしくお願いします。
昔はマグロがたくさん近海で獲れていたんですね。
そして、トロがアラ!今から思えば贅沢なことですね。
針生姜で、ぐっとしまるのでしょうね。
そして、赤い葱。味にコクが出るのでしょうね。
そして、安いです~。
しばらくお天気が続いて
穏やかなお正月のようですね。
どうぞよいお年をお迎えくださいね。
ぱすさん
そうみたいですね。鍋の料理本にかいてありました。
日本人はさっぱりした赤みの方が好きだったんだなーと実感しました。
針生姜で温まりますよ~おススメの鍋です。
町内産の野菜は安くて新鮮で美味しくて助かります。
ぱすさんも、どうぞよいお年をお迎えください。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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