「あー、急にセロリが食べたくなった」
「えーっ、今日はチキンソテーが食べたいって言ってたから、買い物済ませちゃったよ」
いや、だって、と夫が弁解するように言う。
「この皿片づけようと手にとった途端、セロリのサラダ思い出しちゃって」
わたしがカウンターに置きっぱなしにしていたその皿は、たしかにいつもセロリのサラダを盛っている大皿だった。
トリガーポイントだ。
大皿が、夫の記憶の引き鉄を引いたのだ。
日常のなかには、そこここに「トリガーポイント」(引き鉄となるもの、きっかけ)が潜んでいる。それは自分ではどうしようもない。
「明日、セロリのサラダにしよう」
「そうしよう」
そうして作ったひと株使い切ったサラダを、ふたりですべてたいらげた。
どうやらトリガーポイントは、食欲の引き鉄も引いたらしい。
この大皿です。直径25cmあります。カーブもまたいいんです。
たっぷりひと株分のセロリの千切りがおさまります。
帆立のカルパッチョを合わせて、ワインの夕餉。
最近作った新しい味は、サバ缶のアヒージョ。案外優しい味でした。
これと、オリーブオイルがあればできるので、常備しておくのもいいかな。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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