エシャレットを、買い忘れた。

「久しぶりに、鮪アボカドユッケしようか」「いいね」

という話になったのに、我が家の定番料理なのでレシピを確認することもなく買い物し、けれど久しぶりだからこそ忘れてしまった。

玉葱でも代用できるとレシピ本にはかいてあったが、何度か試してエシャレットの方が絶対美味いという結論に達していた。

「あー、エシャレットがないと、味がまったく変わっちゃうのに」

帰り道で気づいたのだが、すでに3分の2は走ってしまった。しょうがないので産直野菜売り場に立ち寄る。

「どうか、エシャレットがありますように！」

だが願い届かず、エシャレットはなかった。

「でもこれ、エシャレットに似てる」

見た途端凝視し手にとったのは、巨大エシャレットともいえるような、縮尺20倍くらいはありそうな物体。平仮名で「はたまねぎ」とある。葉玉葱だ。

「願い、叶ったかも」

車を走らせながら、ふたたび祈る。

「どうか、エシャレットに近い味わいでありますように」

キッチンでドキドキしながら、包丁を入れる。切ったときの匂いとキメの細かさに、思わずガッツポーズした。

「うん、美味い！」

食べてみたらエシャレットとは違う味わいだったけど、玉葱とも全然違う。どちらかというと、エシャレットに近い。

これがまた鮪アボカドユッケにぴったりの食感で、大満足だった。

「やっぱ、見た目が似てると味も似てるんだ」

結論はそこですか、って感じだけれど、野菜の不思議と奥深さに感心しながら、エシャレットのお母さんのような葉玉葱入りのユッケを楽しんだのだった。

巨大エシャレット。ではなく「葉玉葱」です。

エシャレットが欠かせない鮪とアボカドのユッケ。鮪の赤身とエシャレットを叩くんです。赤身は安いものでOK。卵の黄身を混ぜるとトロみたいになります。山葵ソースをかけて。葉玉葱のユッケも、美味しかった！

☆『地球の歩き方』北杜・山梨特派員ブログ、更新しました。

【桜咲く無人駅～JR中央線『穴山駅』から桃の花咲く新府へ】