神戸の義父は、よく甲南漬けを送ってくれる。
酒処灘神戸独特の奈良漬けのような漬物だ。
とても美味しく夫もわたしも好物なのだが、タッパーには入らないほどの大きさのたっぷり入った味噌に何種類かの漬物がごろごろ入っている。夫婦ふたりなのでいつもなかなかなくならず、けっこう長い間冷蔵庫の主になることが多い。
しかし、ふたたび届いた甲南漬けの箱を開け、驚いた。
「お~、進化してる!」
「守口漬け」「西瓜」「胡瓜」「ウリ」のほか「刻み漬け」などに分かれ、それぞれが真空パックになっていた。常温保存もOKだ。
我が家もそうだが核家族化が進み、毎日少しずつ食べるタイプのこの漬物も変わらざるを得なかったのだろう。
「美味いね」「うん。漬けたての味だ」
そのうえ、冷蔵庫でうつらうつらと眠りこみ古くなったものよりも、断然美味しい。素直に変化を喜ぶことにした。
「ところで、この西瓜って食べたことないよね。西瓜の皮かな?」
そう言って開封した「西瓜」だが、何のことはない。これまでも入っていた丸くつるんとした漬物で、ずっと茄子だと思って食べていた。
「西瓜」と言えば大きくて、叩けばポンッと小気味好い音がする皮の硬いシャキシャキとしたイメージしか思い浮かばなかった。
茄子だと思っていたくらいだから、この西瓜は甲南漬けのなかでもくにゃりとやわらかい。それがまた美味しいのだけれど。
たぶん茄子だろう。そう思って考えもせずに、何年ものあいだ西瓜を食べていた。チコちゃんに叱られるな、こりゃ。
こんな感じで届きました。
開けると、上下に味噌を入れたパックにサンドされた西瓜が。
これまでずっと茄子だと思っていた西瓜です。
朝ご飯に甲南漬けがあるとうれしい。
こちらは、守口大根です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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