『梅之木遺跡』を取材中、初めて目にするものが空に浮かんでいた。
目にした瞬間、小さな驚きが胸に広がっていく。
虹と似ているが、非なるものである。朝から快晴で山は青みを際立たせている。冷え込んだ空気が澄んでいる日の特徴だ。雨は降っていない。
虹らしきものはアーチ型になっておらず、直線。平らで端が切れた虹といった風情だ。飛行機雲が水平に流れている。
「きれい!」
取材していた縄文人さんと一緒に、空を見上げた。
「環水平アーク」という現象だそうだ。
空の出来事なのだから、たぶん5,000年ほど前にここで暮らしていた縄文の人たちも目にすることもあったのだろう。そう考えると、時間が巻き戻るような不思議な感覚に陥る。
『梅之木遺跡』を川跡まで歩くと、ヒトリシズカがいくつも咲いていた。
春を迎えた縄文時代の人たちも、足もとの草花を見て季節の移り変わりを感じたことだろう。
空を見上げ、足もとを見て、今を生きる。
それは、きっといつの時代も変わらない。
きのう、『梅之木遺跡』から観た八ヶ岳。
環水平アークです。竪穴式住居を見下ろしているかのよう。
最初はこんなふうに水平でしたが、しばらくすると。
虹とは逆向きのアーチになりました。
皮へ向かう道、足もとにたくさん咲いていたヒトリシズカ。
1年前に取材したときの記事は、こちら。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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