西村祐見子の『せいざのなまえ』は、金子みすゞ童謡集と同じくJULA出版局から刊行されたものが手元にある。
みすゞの童謡集の隣に並んでいる同じ大きさの似た装幀の童謡集なので、いつもそこにあることは知っている。本棚のなかでも、存在感を放っている詩集だ。
とても短い詩「あいづち」が好きで、たまに開きたくなる。
ふと開いてみたのは、朝ドラ『あんぱん』で嵩が詩集「愛する歌」を出版したからかもしれない。
久しぶりに再読し、惹かれた詩は「紙」。
紙
さくさく さくり さく さくり
はさみが 紙を きっていく
紙は そのとき おもいだす
土に かれはが おちるおと
りすが かれはを あるくおと
さくさく さくり さく さくり
はさみが 紙を きっていく
紙は そのとき おもいだす
どんなに 森から はなれても
わすれられない あしおとを
「紙」と、対のような「はさみ」の詩もある。
はさみ
「はなればなれに したものを
いつか こうして むすびたい」
つくえの なかで
はさみは ひとり
りぼんむすびに なっている
物のなかにある思いや記憶を、静かで簡潔な言葉で歌っているところにとても惹かれた。
表題作のほか、「ことり」「玉ねぎ」「ほたるぶくろ」など、身近なものにスポットを当て、温かな言葉を紡いでいる。

この表紙の色は、何色というのでしょうか。青と紫のあいだの色ですね。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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