西谷弘監督の『マチネの終わりに』は、映像の美しさにハッとさせられる映画だった。
〈story〉
クラッシックギタリストの蒔野聡史は、講演を聴きに来ていた小峰洋子と出会う。ともに40代のふたりは出会った瞬間から強く魅かれあっていた。だが洋子はパリの通信社勤務のジャーナリストで、婚約もしていた。ふたりは思いを残しながらも距離を縮めることができず東京とパリとでそれぞれの日常を過ごすが、パリで起こった爆破テロで、洋子は音信不通になってしまう。
小説の感想は → こちら
〈cast〉
蒔野聡史【福山雅治】 天才ギタリスト
小峰洋子【石田ゆり子】 国際ジャーナリスト
三谷早苗【桜井ユキ】蒔 野のマネージャー
リチャード新藤【伊勢谷友介】 洋子のフィアンセ
胸に深く残るのは、小説の感想でもかいたが、「過去は変えられる、あるいは変わっていく」という軸になっているテーマだ。
「常に未来が過去を変えている。つまり過去って言うのはそれくらい、繊細で、感じやすいものなんじゃないかな」
自分のギターを見失い深い闇の底にいた蒔野は、洋子と出会ったコンサートの出来に納得できず、最低の夜だと思っていた。
「でも、未来から振り返れば……、この夜も違って見えるのかもしれないわね」
すれ違い、誤解し、辛い日々を過ごし、それでも生きていかなくてはならなくて……。
しかしそのふたりの過去も、これから変わっていくのだろうか。
そして、映画のために作られたという「幸福の硬貨」のメロディ。
蒔野の指が絃を弾くたび、ひとつ音が奏でられるたびに、胸の奥底の無音の空間にそれがそっと置かれていく感覚。
耳に、胸に残る素敵な曲だった。
福山が実際に弾いていたということにまた驚く。天は二物を与えるんだな。
加えて何よりラストシーンがとても好きだった。こういう終わり方の映画が好きだと、エンドロールを眺めながらずっと思っていた。
映画パンフは、真っ白に明朝体の黒い文字のシンプルさ。
「たった三度会ったあなたが、誰よりも深く愛した人だった」
東京とパリとで離ればなれの日々。
やっと会えるというときに限って、運命の邪魔が入って。
こういう映り込みのシーンが素敵でした。
パリに16泊もして生活する感じをつかんだという石田ゆり子演じる洋子のアパルトマン。ちょっと雑然とした感じがまたいいなあ。
私も昨日観てきたんですよ~
同じく、パンフレットも買いました。
小説を読んでないどころか、ほとんど内容も知らない真っ白なままで見ました。
途中、早苗にどうしようもなく腹が立ったけれど、早苗の気持ちもわかるんですよね。
やってしまった事は最低だけど・・・
若い時に見ていたら、きっとそれぞれの気持ちも、もっと違う見方をしてると思います。
福山さんのクラシックッギター、すごく良かったですね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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