旅は、終わりに近づいていた。
けれど、アクシデントは旅につきもの。
朝食も食べずにホテルを出発しきちんと3時間前には搭乗手続きを済ませたにもかかわらず、帰りの飛行機は待っても待っても乗せてくれない。2時間待ってようやく飛んだときにはフランクフルトの乗り継ぎ便には間に合わなくなっていた。
それでも待ってくれているだろうと、途方もなく広い空港内を急ぐ。だが、羽田行きの飛行機はすでに飛び去ったあとだった。
「まったく、乗れないなら乗れないで連絡くらいしてほしいよね」
「そこが日本とは違うところだよな」
ぼやきつつ、空港のサービスカウンターへ向かう。
そこでもまた30分以上待たされ、ようやく順番が回ってきたかと思えば、「システムダウンしてしまいました。お待ちください」と言われ、結局翌日夕方の便のチケットを手配できた頃には、ゆうに1時間は経っていた。
そこからまたトランジット出来なかったスーツケースを探しに行く。
ここに行けと言われ、ここじゃないと言われ、またここに行けと言われ、スーツケースを手に入れ空港隣接のホテルにたどり着いた頃には夜になっていた。待つのは苦手じゃないが、これだけ待たされるともうへとへとだ。
「明日、どうする? 半日あるけど」
「疲れたね」
夕飯にドイツビールとドイツの白ワインリースリングを飲みながら、しかし言葉も少ない。それでもたがいに知っていた。明日は半日、フランクフルトを歩き回るだろうと。
「お年玉をもらったと思って、歩くか」
「せっかく来たんだもんね。ドイツ初めてだ」
英語の「accident(アクシデント)」は、「災難」や「不慮の出来事」のほかにも「突然幸運が舞い降りる」などの意味を持つという。
アクシデントをどんな意味にするかは、捉え方によるのかも。
そんなこんなで楽しい旅になりました。
メトロのHauptwache駅前です。空港から1本でした。
街を走るトラムも、ポルトガルとは雰囲気が違いました。
可愛らしい建物が並ぶレーマー広場。
やっぱり新年もまだクリスマスツリー飾ったままなんですね。
老舗食堂が入った建物。
豊かに穏やかに流れるマイン川。
マイン川のカモメたちは、同じ方向を向いて。
修復中だった大聖堂。
礼拝堂も、煉瓦色なんですね。
にぎやかだった市場「クラインマルクトハレ」。
けっこう広くて、食材やレストランがびっしり。
市場は、どこの国も活気があって楽しいですね。
☆ポルトガルの旅レポはこれでおしまいです。読んでいただいてありがとうございました。
わ~、さえさん、大変だったんですね~
こんな事、ごくたまに聞きますが、一泊余計に泊まらなくちゃいけない事もあるんですね~
細かい話ですが、宿泊代の保証なんかは保険や飛行機会社から出るのかしら?っと、心配してしまいます。
でもご主人がいらっしゃるから、きっと心丈夫だったでしょうね。
私も去年、友達と初めて欧州を個人旅行したけれど、私と友達だったら、もうパニクってどうなっているのか、想像しただけでもゾッとします。
頼りになる人と一緒だからこそ、ドイツも楽しめたアクシデントになって、結果オーライでしたね。
ドイツも行ってみたい国の一つです・・・
突然幸運が舞い降りるという意味がある。
なんていいことを知ったのでしょう。
フランクフルトの半日はきっと忘れられない思い出になりますね。
街並みがきれいだそうですね。
夫は2度もドイツに行っています。
私も行きたいな~。
ドイツ・・とタグがあったので、ドイツも行かれたのかと思ったら、そういうことだったのですね。
旅はアクシデントがつきものですね。
そのアクシデントを楽しむぐらいの気持ちを持つことですよね。
ポルトガルとドイツ。陸続きなのですよね。
しかしながら、街並み、建造物の雰囲気がまったく違うものですね。
災い転じて・・・でいい経験されましたね!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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