アンダルシアの州都セビージャは、主にグアダルキビル川の東側に広がる街だ。
東岸には、大聖堂やアルカサルなどがある旧市街。
西岸には、レストランやバルが並ぶ「トリアナ地区」が広がっている。
ローマ時代に主要都市として栄えたセビージャは、8世紀ジブラルタル海峡を渡ってきたモーロ人に征服され、以降500年ものあいだイスラム文化が繁栄。
グアダルキビル川沿いの良港として、経済的にも発展した歴史を持つ。
その波瀾万丈の歴史の舞台となったグアダルキビル川を船で巡り、イスラム建築のひとつ「黄金の塔」が夕暮れに染まる姿を見ようと小さなクルーズ船に乗った。
クルーズ船の乗客は、わたしたちを含め11人。
4組のカップルとひとり旅の若い女性が3人で、スペインの違う土地から来ている人もいたが、けっこういろいろな国から来ていた。
メキシコやフランスからのひとり旅、カリフォルニアから来た老夫婦、そしてわたしたちは日本から。
クルーズ船は、スペイン語、フランス語、英語の解説音声を流しながら川を滑っていく。
寄せ集めで同乗した人たちは、どんな旅をしているのだろうかと想像が膨らんだ。
何かの転機があり、ひとり旅に出たのだろうか。あるいは、休みがあれば旅するような暮らしをしているのか。
毎年夫婦で旅しているのか、それとも喜寿か何かに子供たちにプレゼントしてもらい初めてヨーロッパを回っているのか。
そしてわたしたちは、どんなふうに見えるのだろうか。
アンダルシアの、セビージャのラストナイトは、そんな想像広がる小さなクルーズ船の上で暮れていったのだった。
昼間歩いた「サン・テルモ橋」から見たグアダルキビル川。
「Torre del oro(トーレデルオロ)黄金の塔」は、イスラム建築物。
13世紀に川の運行を検問するために建てられ、かつては上部が陶器煉瓦で輝いていたことから、その名がついたとか。今は海洋博物館になっていました。
黄金の塔から見た「セビージャ大聖堂」。
スペイン一大きな「セビージャ大聖堂」は、ヨーロッパでもローマの「サン・ピエトロ寺院」、ロンドンの「セント・ポール寺院」に次ぐ大さだそうです。
大聖堂の「ヒラルダの塔」は「風見」という意味で、先端の像が風を受けて回ります。1288㎏もあるのに、回っていました。
夕刻7時半頃のグアダルキビル川。黄金の塔が、夕陽を浴びて金色っぽく見えました。
船は、小さなタイプ。12人乗りくらいかな。乗客は11人でした。
出発した8時過ぎには、まだ明るかった。
だんだん暗くなって。帆船のオブジェかな。「黄金の塔」からも見えていました。
「イザベル2世橋」の下をくぐって。
「Puente del Cristo de la Expiracion(終焉のキリスト橋)」の手前でUターンして引き返しました。
「イザベル2世橋」を眺める乗客のみなさん。
穏やかな夜のクルーズでした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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