ポルトガルの珈琲は、エスプレッソだった。
わたしは珈琲好きのくせに苦い珈琲は苦手で、だからエスプレッソはめったに飲まない。しかし、パンの朝食やカフェでの休憩に珈琲は欠かせない。
ポルトガルでよく飲んだ珈琲は、「メイア・デ・レイテ」。
メイアは半分、レイテはミルク。半分ミルクだよという名の珈琲はカフェオレだが、エスプレッソ珈琲とミルクが半々なので、厳密に言えば、カフェオレ(ドリップ珈琲1:ミルク1)とカフェラテ(エスプレッソ2:ミルク8)のあいのこだ。エスプレッソとミルクが半々ずつ入った珈琲である。
何度も頼むうち、
「uma meia de leite por favor.」(メイア・デ・レイテを一杯ください)
これだけは、ポルトガル語でオーダーできるようになった。ふたり分なら頭を「2」duas(ドゥアシュ)に変えるだけ。シンプルだ。
モンサントからリスボンに向かう途中、乗り換え駅での待ち時間にもメイア・デ・レイテで温まった。
ポルトガル語でオーダーすると、駅の売店に併設されたカフェのおじさんは、にこっと笑ってくれた。こちらもうれしくなり、笑顔を返す。
これだけのことでも、気持ちが温かくなる。
ところが珈琲を飲み終えた頃、売店のおじさんに肩をたたかれた。
「リスボンに行くんだろう。今ホームに入ってきたあの電車だよ」
身ぶり手振りで、親切に教えてくれた。もちろん知っていたのだがうれしかった。そればかりか、待合室のドアを開け見送ってくれたのだ。
「オブリガーダ(ありがとう)」
わたしも、満面の笑みで手を振った。
トイレから戻ってきた夫は、その様子を見て驚いていた。
たどたどしく発音もなってないわたしのポルトガル語は、それだけ微笑ましく映ったのかも知れない。
慣れないエスプレッソも、ミルクを混ぜれば飲みやすくなる。知らないことばかりの国でも、ひとつ知ろうとすればひとつ分だけ、たぶん親しくなれるのだ。
『サンタ・カタリーナ通り』の老舗『マジェスティック・カフェ』。
大きな鏡が、空間を広々と見せています。
オレンジジュース。氷を入れないのも、日本にはない風習ですね。
『リベルダーデ広場』のカフェ『グァラニ』。
かつてはアーティストのたまり場だったとか。
メイア・デ・レイテと、グラスに入ったのは「ガラオン」。これもミルク珈琲です。たっぷり飲みたいときに。
朝食を食べに通ったパン屋さんのメイア・デ・レイテ。
チェーンっぽいカフェでは、メニューに「カフェオレ」とありました。
夫とわたしです(嘘)。ただ珈琲を飲んでいるだけなのに、素敵な雰囲気ですよね。
☆ポルトガルの旅レポは、これでおしまいです。読んでくださって、ありがとうございました。
こんにちは。
>知らないことばかりの国でも、ひとつ知ろうとすればひとつ分だけ、たぶん親しくなれるのだ。
この言葉、とてもステキだと思いました。国を人に置き換えることもできますね。いっぺんにではなく少しずつ、少しずつ。
ポルトガルの旅、私も一緒に楽しませていただきました。とっても良い旅に同行させていただきました!ありがとうございました(*´ω`*)
彩夏さん
こんにちは。
いっぺんにではなく、少しずつ、少しずつ。ほんと、そうですよね。ありがとうございます。
ポルトガルの旅に同行していただきまして、ありがとうございました。楽しんでいただいてうれしいです。
これからも、ぜひ遊びにいらしてください。
こんばんは。
ポルトガルの旅の様子、とても楽しく拝見しました。
ポルトガルではエスプレッソとミルクなのですね。
濃いコーヒーとミルクの組み合わせ美味しいでしょうね。
鏡のある大きなカフェは関口さんも入ったカフェだったような?
パンもおいしそうですね。
気ままにこんな朝ごはんもいいなあ~。
でもやっぱりご飯と梅干が恋しくなるのかな?
南ポルトガルの猟師町オリャオに20年住んでいた青目さんというブログ友達がいます。
数年前御主人が漁師をやめ、日本に帰りました。
ポルトガルはとても楽しかったそうです。
「リスボン 坂と花の路地を抜けて」という本を出しておられます。
さえさんのブログを拝見し行ってみたいな~と思っています。
hanamomoさん
こんにちは♩
エスプレッソは、ミルクを入れると美味しいですね。
『マジェスティック・カフェ』は、とても有名で行列ができるカフェです。
たまたま並んでいないときに通りかかって入ってみました。
関口さん、行っていたかなあ。ちょっと思い出せませんが、老舗なので立ち寄ったかもですね。
ポルトガルで暮らしていた方とブログでお友達なんですね~♡
本も出されている方なんですか。青目さんのブログ、遊びに行ってみます。
教えてくださってありがとうございます。
ポルトガル、いいところでした♩旅におススメの国です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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