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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

大きな扉の小さな扉~雨のナポリで

ナポリは、雨だった。

これでもかというほど降っていた。土砂降りである。

赤い矢の名を持つ特急で、ローマからおよそ1時間。

丘から見下ろしたサンタルチアの海、オレンジ色の家が並ぶ街、海の向こうに見えるヴェスーヴィオ火山にカプリ島。「ナポリを見て死ね」と、ゲーテが言った絶景が広がる南の街を、楽しみにしていた。それなのに、予報は滞在する3日間ずっと雨。あきらめきれず、しとしととそぼ降る雨であることを祈っていたが、そんな半端な雨ではない。

 

そのうえのアクシデント。

「うそだろ。メトロ1号線、動いてないよ」

「えーっ。どうやって、宿に行く?」

大雨のなか宿泊用の大きな荷物を抱え、2号線の駅から20分ほど歩くことになった。

また予約したB&B(ベッド&ブレックファスト)が、わかりにくい。17世紀の建造物「カラファ・ディ・マッダローニ館」を旅行者が宿泊できる施設にしているのだが、入口がさっぱりわからない。

建物の周囲を一周し、やっとのことで入口を見つけた。扉が大きすぎて、そこがドアだと認識できなかったのである。巨大な扉の一部が小さく開くようになっていた。まるで猫の出入り口のようだ。

 

階段を上り、たまたまドアを開けた人に、雨でよれよれになったバウチャーを見せて訊いた。

「ドーベ?(これ、どこ?)」

「おーっ、ここです」

「ここ? ほんとに? よかった!」

上の階を探し回っていた夫を呼び戻し、ようやくのチェックイン。

いったい自分がどこで何をしているのかと、一瞬記憶が飛ぶ。

ここはナポリで、わたしは旅人だ。

青く広がる空と海を見に、はるばる日本からやって来たのである。

フレッチャ・ロッソ(赤い矢)という名の特急列車で、約1時間。

ナポリ到着。

この建物が、B&Bです。

この扉の大きさ!

そして、出入り口の小さいこと!

扉のなか、天井にはフレスコ画が。

修復中のようです。

この階段を、ずぶ濡れで上りました。

中世の雰囲気が残る部屋。シャワーはときどき水になりましたが、落ち着く部屋でした。

朝食会場です。映画のなかに入り込んだみたい。

朝ご飯、美味しかったんだけど、ひとり€10もするので、1日目だけにしました。B&Bなのに、朝食別料金ってありなんですね。

雨のナポリは、どうなることやら。ね、ダンテさん。

 

 

 

 

COMMENT

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  1. hanamomo より:

    こんばんは。
    ナポリは雨だったのですね。

    そして雨の中荷物を持って20分歩いたのは大変でしたね。
    素晴らしい宿ですね。
    本当に映画に出てくる建物のようです。
    こういう宿はご自分で選んで予約されたのですか?
    詳しい情報を何かで調べて行かれるんでしょうね。

    朝食代高い!
    トマトが載っているトーストの上にある丸いのはじゃがいもかな~。

    イタリアはいつ行っても青空というイメージですが、やっぱり雨が降るのですね。

  2. ぱす より:

    ボンジョルノ~♪
    ローマからナポリに移動されたんですね。
    特急で1時間ですか。京都~名古屋ぐらいの間隔なのかなあ~って想像しました。
    とても芸術的で気品あるB&Bですね。
    確かに朝食有料って納得できませんね(笑)
    Bって?なんのBって思いますね。

    雨のナポリもまた楽しんでくださいね。

  3. さえ より:

    >hanamomoさん
    ひどい雨でほんとうに参りました。
    宿は夫が調べてくれて、値段や、立地などふたりで相談して決めました。
    わたしも予約の仕方、電車の切符の買い方など、今回いろいろ覚えましたよ。
    朝ご飯の丸いのはチーズでした。
    雨はどこにいても降るんですね~

  4. さえ より:

    >ぱすさん
    ボンジョルノ~
    ナポリ、なんだかめちゃくちゃなところが楽しかったです。京都~名古屋と思うと近いですよね。
    Bね~ほかのBがあったのかな~(笑)
    雨は雨なりに楽しみました。
    ありがとうございます。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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