20年越しの念願だった、トイレをリフォームした。
家を建てると、どうしても気に入らない場所というのが出てくるものだ。2つあるトイレのひとつがそうだった。
当時、INAXのショールームまで夫婦で行き、設計士さんと一緒に品番と色を決めたのに違うものが納品されていた。選んだのは薄いブルーだったのだが、設置されていた便器がなんとピンク色だったのだ。
「トイレ、ブルーでお願いしましたよね?」
設計士さんに聞くと、いや、と首を振る。
「大人エリアのトイレはブルー。子供エリアのトイレはピンクだとうかがっています」
わたしも夫も、トイレであれどこであれピンク色を選ぶはずもなく、話を聞いてすぐにわかった。
設計士さんは、子供部屋となる2階にトイレを置くのを反対した。理由は、子供たちが2階に上がったままになりがちとなるから。なるほどと合点し、1階の階段横にひとつ、仕事部屋と夫婦の寝室の横にひとつ設置することにした。
設計士さんは、大人エリアと子供エリアに分けてイメージし、頭のなかで色分けしていたのだろう。その思い込みから、子供エリアのトイレはピンクになってしまったのだった。
生活する家族の様子を思い描き、考えに考えて設計してくださったのだとわかる。だから交換できないと言われたときには、涙を呑んだのだ。
思えば引っ越し当日、玄関のドアがまだついていなかった。トイレが使えるようになったのも当日だ。お風呂はひと月以上町内の温泉に通った。4月に越してきて家が完成したのは7月。
そんな混乱のなかで便器の色云々と言っている場合ではなかった。
お世話になった設計士さんも、家を建ててくれた大工さんも、今は亡き人となってしまった。
今年そのトイレが壊れ、修理したが次に壊れたら部品がないと最後通告を突きつけられた。そうして20年越しにリフォームをする運びとなったのだ。
どうせなら気に入ったスペースにしようと沖縄を旅した際には手洗いの器を探した。白い陶器だった化粧棚も、大工さんにお願いして欅の一枚板を張り、ペーパーホルダーも木でとこだわった。塗装は、自分たちで身体に悪いものが入っていない胡桃オイルを塗った。
新しくなったトイレに入るたび、長年抱えていた肩の荷がようやくひとつ下りたのを実感するこの頃である。
トイレの写真で失礼します。アイボリーの便器になりました。ホッとします。
大工さんの倉庫に眠っていたという欅の板。設置してもらってから、胡桃オイルを塗りました。
手洗いのボールは、沖縄を旅したときに見つけたやちむんを送ってもらいました。
合わせたわけじゃないんだけど、鏡と色が合っていました。
ペーパーホルダーの板も大工さん作。これも胡桃オイルを塗って完成。
遅くにこんばんは。
素敵なトイレを見せてくださってありがとう。
ゆったりしていますね。
手洗いのやちむんの色合いがいいですね。
我が家のトイレはとても狭くて(1階と2階にあります)
こんな広いトイレを見せていただくといいなあ~と思います。
今の2倍のスペースがあったら母のこともトイレに連れていけたのです。
私たち夫婦の将来のためにリフォームしようかな~とも思っているところです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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