「ころがき、作るけ?」
近所の農家さんに誘われた。誘われたが、何のことだか判らない。
「ころ、がき、って、何ですか?」
「ころがきだって。ああ、干し柿のこっさ。なんだ、ころがきわかんねえだか」
ビニール袋だけ持っていくと、ご夫婦で収穫中。
「紐で吊るせるように、両側を残して切ってね」
言われるままに、お借りしたハサミで枝を切り落としていく。
干し柿は以前挑戦したもののカビさせてしまい、それから吊るしたことはない。
「皮を剝いて、5秒だけ熱湯にくぐらせるさ。消毒だね」
奥さんに教えてもらいながらハサミを動かしていると、ご主人が長い剪定バサミの先にある実が4つほどついた枝を差し出した。
「ずくしにしろし」(ずくしにしなよ)
「ずくし?」
「なんだ、ずくしもわかんねえだか」
「このまんま部屋に置いておくと、赤ーくやわらかーくなるから。炬燵に入ってね、それをスプーンですくって食べるのが美味しいの」
「ずくし」なるほど。熟した柿の実のことらしい。「熟し」ってことだろうか。
調べると「ころがき」は「枯露柿」とかくようだ。木枯らしに吹かれ、朝露にさらされた柿ということらしい。
漢字にすると、なるほどと合点がいく。方言っておもしろい。
甲州弁、だいぶ判るようになったと思っていたのだが、その語彙は奥深い。
ほーけー(そうなんだあ)つーこんずら(ということだ)
ちょびちょびしちょし(いい気になるな)わにわに(ふざける)
ももっちい(くすぐったい)ももかすぞ(くすぐるぞ)
こーし(来い)やせったい(気がせく)かじる(掻く)
など少しは覚えたのだが、柿の実の皮ほども判ってはいないのだろう。
小学4年で転校してきた娘が「背中かじって」と友達に言われ「山梨ではそういうことするのか」と勘違いし驚いていたっけ。
そう言えば、彼女は干し柿が大好きだ。
枯露柿用の柿畑だそうです。
長い剪定バサミで切っていきます。
「ずくしにしろし」と言われた枝つきの柿の実。
ころころいっぱい。けっこう大きな柿の実です。
吊るせるように、枝を残して切ります。
やった!できた。って、これからなんだけど。
枯露柿、ちゃんとできるかな。わくわく。
さえさん、おはようございます。
甲州弁、面白いな~って思いながら拝見してました。
全然、わかれへん~(◎_◎;)
でも一つだけ地元で使う言葉に似ている言葉発見しましたよ。
「ほーけー」
地元では「ほんまけー」とか言います。
兵庫出身のご主人は言わないかもしれないけれど、関西弁の中でも、大阪弁があって、その中でも地元の泉州弁があります。
私は恥ずかしいからあまりバリバリの泉州弁は使わないようにしているつもりだけど、人からはバリバリの泉州弁やな~ってよく言われます。(-_-;)
ユミさん
こんにちは~。
甲州弁、わかんないでしょう?後ろのことを裏って言ったりもして、子ども達がよく「教室の裏に」とか言ってるのを「教室の裏ってどこ?」と思って聞いていたりしました。今でも子どもたちはちょっとだけ甲州弁入ってますね。
「ほんまけー」は夫は言いません。
ユミさんは、泉州弁なんですね。方言を持っているのって、東京育ちのわたしには、ちょっとうらやましいな♩
「柿が赤くなると医者が青くなる」って言葉は誰が言いだしたか知らないけれど、柿大好き人間の私は今年も柿が出てきた、とそれこそワクワクするのですが、え、1個100円以上もするの?とたじろいでいたところ。枝にたわわな柿を唾を飲み込む思いで見せて頂きました。
枯露柿って言葉もいいですね。
「ほーけー」は「ほんまけ?」と共に淡路の方言でもあって、懐かしいです。
コープのネット注文の干し柿4個が明後日土曜に届くのを楽しみにしながら・・・。
yasukoさん
「柿が赤くなると医者が青くなる」は初めて聞きました。ヨーロッパには「トマトが赤くなると医者が青くなる」って言われているそうですよ。
ことわざや言い伝え、おもしろいですね。
枝になった柿、美味しそうですが渋柿です。
渋柿を干すと甘くなるのって、考えてみれば不思議ですね。皮を剥いて熱湯に5秒浸してと、布巾で手を拭きながら作業をしたのですが、布巾が濃い茶色に染まってしまいました。柿の渋ってあなどれません。
淡路でも「ほんまけ?」って言うんですね。コープの柿、楽しんで召し上がってください♩
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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