「それ、いいね」
夫が言ったのは、わたしが飲んでいた珈琲のカップの底のこと。
「え、これ?」
「そう。それ」
そのカップは、10年以上むかしになるだろうか。ひとり高崎へ所用があり出かけたときに、たまたま立ち寄った陶芸工房で見つけたものだった。
いまも、気に入ってはいるけれど、”底”を特出して褒められると、不思議な気分になる。
飲んでいる最中なので、確認もできない。
「そうか。珈琲カップの底って、飲んでいる人には見えなくて、向かい合っている人にだけ見えるものなんだ」
そんな当然のことに気がつくが、大発見でもなんでもない。
そんなことがあったので、カップの底を上にして並べてみた。
作り手のサインが入ったものや、「高台」という器を支える台がつけられているもの、絵が描かれたものなど、いろいろあって楽しかった。
陶芸家にとっては、底も作品の一部。おろそかにしていないのだということが、わかる。
普段は見えないと思っているところも、自分以外の人には、もしかしたら見えているのかもしれない。
そんなとき、「それ、いいね」と思われるような自分でいたいものである。
ひとり分の珈琲を淹れた午後。ケニアの珈琲です。
う~ん、いい香り。
たっぷり2杯分淹れました。豆、20g。
カップの底。
並べてみました。
上から撮ると、茫々と穴があいているように見えます。
チューリップが掘られているカップも。
どれも、どこで見つけて買ったか思い出せます。
おはようございます。
珈琲カップの底の美、それに気が付くご主人素敵です。
自分には見えない部分に相手が気が付いてくれたのは嬉しいことですね。
☕の香りとともにいいお話でした。
日曜にの朝に見つけた温まるお話でした。
陶芸の事はよくわかりませんが、さえさんがこの日選んだ珈琲カップは平たくした土をくるりと丸くして底につけたような形ですね。
安定感もあり口に当たるところは薄くて飲みやすそうなカップです。
さあ、私も美味しいコーヒーを淹れましょうか。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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