アレンテージョ地方で楽しみにしていたもののひとつ(大部分とも言える)が、郷土料理だ。
リスボンで、どこへ行くのかと訊かれ「エヴォラからアレンテージョを回る」というと、必ず言われた。
「ベストセレクション。何しろ料理が素晴らしい。ワインも美味しい」と。
エヴォラでは、とても素敵なレストランに出会った。
「ORIGENS」というお土産物屋やカフェでにぎわう10月5日通りを少し入った路地にある店だ。アレンテージョ地方の郷土料理を今風にアレンジしたといった味わいで、どれも美味しくいただいた。
ところで、我がパートナーの夫は美味しい店を探すのが得意で、「鼻が効く」とよく言われる。旅ではその能力がいかんなく発揮され、わたしはただいい思いをさせてもらっている。
しかし彼の特技は探し当てるまでではない。店の人と会話を楽しみ、最後には食後酒をご馳走になるほどに意気投合する。
それは、日本でもイタリアでもスペインでも同じだった。リモンチェッロやグラッパを、「これはうちの特製だ」とか「絶対に美味いよ」と出してくれる。
「ORIGENS」でも、「これ飲んでいってよ」という感じでやわらかな味わいの食後酒をご馳走してくれた。
なぜ、の答えは出ている。
彼は美味しければ美味しいほど、素直に率直に美味しいと伝えるのだ。
「excellent(エクセレント)」や「amazing(アメージング)」あるいは「great(グレイト)」と簡単に、けれど心を込めて伝える。
だから相手に、たとえ互いに英語が堪能ではないポルトガルの人であれ、気持ちが伝わるのだろう。
簡単なこと。だけどやってみるとそれは案外難しい。
アレンテージョの優しい味わいの料理を楽しみながら、難しいけれど、見習おうと思ったのだった。
うっかりしていると通り過ぎてしまうような外観。
なかはモノトーンて統一されていて、「I♡ALENTEJO」の文字が。
そんな雰囲気にはそぐわないような可愛らしいテーブルセッティング。こちらではクリスマスを過ぎてもツリーやクリスマス飾りそのままなんですね。
アレンテージョ地方のクラフトビール。とってもフルーティでこだわって作られたビールだとわかりました。
アミューズは、蛸とセロリのオリーブオイル和え。
海老料理。味わい深いソースとテーブルでおろしてくれたチーズとのマリアージュがたまらない。
蛸は日本ではお目にかかれないほど、やわらかく煮込んでありました。
豚肉とあさりの炒めものは、「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテ―ジャーナ」という郷土料理のアレンジ版だと思います。
ブラウニーとアイスクリームにざくろを添えたデザート。
ティーは、6種類くらいから選べたので「Quero isto(これにします)」とにわかポルトガル語でオーダーすると、大うけでした。やっぱ発音が違うんでしょうね。
これはランチに食堂のようなカフェで食べたアレンテージョ独特の豚肉を煮込んだ汁で練ったパン粥のような料理「ミーガシュ・デ・ポルコ」。
よくわからないままオーダーしたトマトライスには、めちゃうまの鯵の唐揚げが大胆に乗っかっていました。
うさぎのソテーもこちらならでは。カウンターのお隣りに座った女性が「美味しいわよ」とススメてくれました。
鮫のスープも郷土料理。パンをスープに浸すのも、定番のようでした。
デザートのお皿にくぎ付けになりました。
きれいですね~。
デザートだけでなくパスタでも、和食を盛り付けてもよさそうです。
お料理美味しそうですね。
蛸が大好きな私、岩に打ち付けて蛸を柔らかくするのをテレビで見たことがあります。
実際この方法で柔らかくしているのかしら?
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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