玄関に、大きな丸太がある。
米松の丸太。海を渡って来たアメリカの松だ。
家を建てたときにお世話になった大工さんと一緒に、わたしたち夫婦は材木屋さんの作業場に行き、その丸太を選んだ。テーブルを作ってもらうためだ。縦半分、真っ二つに切った丸太を並べ、つなぎ合わせてテーブルにした。玄関にあるのは、その残りの丸太だ。
大掃除をして、久しぶりに丸太を見た。普段は布をかけてあり、丸太の年輪を目にすることはない。思いのほか太いと驚いた。
アメリカの大地で、どこかの森で、何十年もそこに息づいて空を見上げて伸びていたのだろう。突然切り倒されて理不尽に思っただろうか。枝を掃われ丸裸にされ海を渡るのは、心細かっただろうか。森でともに育った松のことを、思い出すことがあっただろうか。テーブルとして、あるいは玄関で飾り棚として、姿を変えて生きることに違和感を覚えただろうか。
「いつも、ありがとう」
心のなかでつぶやいて、きれいに拭いた。すると不意に聞こえた。
「my pleasure」
「どういたしまして」という意味のその言葉は、直訳すると「わたしのよろこびです」になる。人間の自分本位な解釈かも知れないが、もうともに生活してきて16年になるのだ。
「来年は、英語、勉強しようかな」
わたしのつぶやきに、米松は何も答えず、ただ笑っていた。
丸太です。何も手を加えずに、ただ置いてあります。
布をかけると、飾り棚に変身します。右側の布の下には1年分のお米。
陶芸作家さんが『沈思』と名づけていた子です。
たまに、じっと見つめます。心静かになり、落ち着きます。
掃除したあと、暖簾を冬用の椿に変えました。
宅配便用の印鑑入れにしている松ぼっくりは、家を建てたときに切り倒して材木にした赤松の実です。大黒柱や梁や天井にここに生えていた赤松を使いました。
米松のテーブルです。雑然とした雰囲気がバレバレ(笑)
こんばんは♪
やっぱりさえさんのお家、素敵すぎます!
お家だけでなく、自然と共存する生活は、大阪の地方に住む私にはほんとに別世界ですよ。
主人にも時々さえさんのお家のお話してるんですよ。
お家がある土地に生えていた赤松ですか?
その木を使ってお家を建てたって!
玄関先に置かれた丸太は、布をかけると素敵に変身ですね。
飾り棚にも使えるし、素敵なカフェテーブルのようにも見えます。
さえさんのお家は、やっぱり私の心の別荘だわ~(^^)/
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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